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単勝を1点、1,000円。締切前のオッズは8.0倍でした。
ゴール前で2頭が並び、写真判定。1着同着。あなたの馬は、その2頭の片方でした。
的中です。ところが払戻金の欄を見ると、4,000円。
「同着だから半分か」
そう納得しました。8.0倍が4.0倍になった。きれいに半分です。
引っかかったのは、その後でした。以前にも同着のレースで当たったことがあり、あのときは半分より少なかった気がします。記憶があいまいなまま、「同着は半分」という言葉だけが残りました。
半分になるときと、ならないときがある。 どちらなのかは、何で決まるのか。同着だったという事実だけでは、払戻の金額は決まらないことになります。
この記事で出すのは、JRAが公開している払戻金の計算式と、そこから読める同着の落ち方です。
結論から言うと、あなたの記憶のほうが正確でした。半分になるのは特殊なケースで、条件が揃わないともっと少なくなります。
先に結論:表示オッズは「同着なし」を仮定した概算
まずJRAの表示を引きます。『馬券のルール』の払戻金の計算方法の項です。
JRAが発表した最終オッズは勝馬が1頭または1組であると想定した概算払戻率であり、同着の発生など当該競走の結果によっては異なる率による払戻金となる場合があります。
(JRA『馬券のルール』・2026年9月時点)
あなたが締切前に見た8.0倍は、「同着は起きない」という前提で出された数字でした。
そして計算式そのものも公開されています。
払戻対象総額を求める計算式 (W+D/P)×R 【+A/P】
(同上。【+A/P】はWIN5の場合のみ)

| 記号 | JRAの説明 |
|---|---|
| W | 当該勝馬に対する勝馬投票券の総券面金額 |
| D | 出走した馬であって勝馬以外のものに対する勝馬投票券の総券面金額 |
| P | 勝馬の数 |
| R | JRAが投票法ごとに定めた率(払戻率) |
| A | WIN5においてキャリーオーバーがある場合の金額 |
Pで割られているのはDだけです。ここが落ち方を決めます。
Wは割られません。自分たちに賭けられた金はそのまま返ってくるという形になっています。削られるのは、外れ馬券から回ってくる分だけです。
だから自分の票が厚いほど、同着の影響は小さくなります。 元から自分の金で戻る割合が大きいからです。逆に人気薄は、配当のほとんどを外れ馬券に頼っているので、そこを半分にされると大きく効きます。
負け票の山を、勝った頭数で割っている
式を言葉に直します。
勝った側に配られるのは、「自分たちに賭けられた金(W)」+「負けた馬に賭けられた金(D)を勝馬の数で割った分」。 それに払戻率を掛けます。

冒頭の例で確かめます。総売上1,000万円の単勝で、あなたの馬Aに100万円、同着相手のBに100万円、残りの800万円が他の馬に賭けられていたとします。
Aが単独で勝っていたら、Dは900万円。払戻対象総額は (100 + 900) × 80.0% = 800万円。Aの票100万円で割って8.0倍です。
同着だと、Bは勝馬なのでDから外れます。D=800万円、P=2。払戻対象総額は (100 + 800÷2) × 80.0% = 400万円。100万円で割って4.0倍。
ちょうど半分になりました。 ただしこれは、AとBに同じ金額が賭けられていたからです。
票が偏ると、半分では済まない
配分を変えて計算します。総売上1,000万円の単勝、払戻率80.0%は同じです。

| Aへの票 | Bへの票 | A単独なら | A同着 | A の倍率 | B単独なら | B同着 | B の倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 100万 | 100万 | 8.00倍 | 4.00倍 | 0.500 | 8.00倍 | 4.00倍 | 0.500 |
| 200万 | 200万 | 4.00倍 | 2.00倍 | 0.500 | 4.00倍 | 2.00倍 | 0.500 |
| 100万 | 300万 | 8.00倍 | 3.20倍 | 0.400 | 2.67倍 | 1.60倍 | 0.600 |
| 300万 | 100万 | 2.67倍 | 1.60倍 | 0.600 | 8.00倍 | 3.20倍 | 0.400 |
| 50万 | 450万 | 16.00倍 | 4.80倍 | 0.300 | 1.78倍 | 1.24倍 | 0.700 |
※売上と票の配分は当サイトが置いた仮の値です
きれいに半分になるのは、2頭に同じ額が賭けられているときだけです。
票が偏ると、人気薄のほうが大きく削られます。 いちばん下の行では、人気薄のAが0.300倍まで落ち、人気のBは0.700倍で済んでいます。
理由は式のかたちにあります。Aが単独で勝つときは「Bに賭けられた450万円」も総取りできました。同着ではそれが取れないうえ、残りの負け票500万円も半分に割られる。取り損ねる額が大きいのは、相手の票が厚いときです。
あなたの記憶にあった「半分より少なかった同着」は、相手のほうが人気だったレースだと考えると説明がつきます。
逆のケースも表に出ています。人気のB側に立っていれば、0.600倍や0.700倍で済みます。同じ同着でも、得をしている側と損をしている側がいるわけです。
もっとも、どちらに立つかは買う前に選べません。同着が起きるかどうかも、相手が誰になるかも、事前には分からないからです。この計算は、起きたあとに何が起きたのかを説明するためのものです。
ひとつだけ言えるのは、人気薄を狙う買い方のほうが、同着のときの目減りが大きいということです。配当の大部分を外れ馬券に頼る買い方ほど、そこを割られる影響を受けます。
複勝の「3着まで」も、同じ式のP=3
この式には、もう1つ読みどころがあります。Pは同着のときだけの数字ではありません。
複勝は3着までが的中です。つまり勝馬の数Pが最初から3。同じ式がそのまま使われています。
当サイトは複勝の理論平均配当を「頭数 × 払戻率 ÷ 的中枠数」として出してきました。これがJRAの式から出るかを確かめます。

| 頭数 | 的中枠(P) | JRAの式から | 当サイトの式 | 一致 |
|---|---|---|---|---|
| 7頭 | 2 | 2.800倍 | 2.800倍 | ○ |
| 8頭 | 3 | 2.133倍 | 2.133倍 | ○ |
| 12頭 | 3 | 3.200倍 | 3.200倍 | ○ |
| 18頭 | 3 | 4.800倍 | 4.800倍 | ○ |
4つとも小数点まで一致しました。 別々に組み立てた2つの式が、同じ数字に着地しています。
当サイトが84本の記事で使ってきた計算は、この (W+D/P)×R から出てくるものだったことになります。別の経路で組み立てた式が、大元の規則と同じ場所に着地しました。
同じことは理論平均配当全般に当てはまります。でたらめに買った人の回収率が払戻率になるのも、Wが総売上を組み合わせ数で割った値になるだけの話です。
確かめ方は単純です。でたらめに買えばWは総売上の一定割合になり、W+D/P を計算すると総売上×(1/P) に落ち着きます。そこにRを掛けてWで割れば、組み合わせ数 × R ÷ P が残る。当サイトが使ってきた形そのものです。
この一致には実務的な意味もあります。当サイトの計算が独自の解釈ではなく、JRAが公開している規則から出ていることが確かめられました。式の出どころを疑う必要がなくなります。
1着同着だと、3着が消える
配当のほかに、着順の扱いも決まっています。

| 同着の場所 | JRAの表示 |
|---|---|
| 1着が2頭以上 | いずれか1頭を1着、いずれか1頭を2着、いずれか1頭を3着とみなす |
| 2着が2頭以上 | いずれか1頭を2着、いずれか1頭を3着とみなす |
| 3着が2頭以上 | いずれか1頭を3着とみなす |
1着同着だと、2着と3着の枠が同着の2頭で埋まります。 3着でゴールした馬は、着順のうえでは3着とみなされません。
あなたが複勝やワイドを3着の馬で持っていたら、1着同着のせいで外れになります。 配当が減るどころの話ではありません。
ワイドと3連系には、当たらない組み合わせがある
さらに注記があります。
ワイドにおける3着どうしの組合せ及び3連複・3連単における3着どうしを含む組合せは的中となりません
(JRA『馬券のルール』・2026年9月時点)

| 券種 | 3着同着のときに的中にならない買い目 |
|---|---|
| ワイド | 3着の2頭どうしの組み合わせ |
| 3連複 | 3着どうしを含む組み合わせ |
| 3連単 | 3着どうしを含む組み合わせ |
3着同着が起きると、その2頭はどちらも3着とみなされる候補ですが、両方を同時に使った買い目は当たりません。
ワイドで「3着に来そうな2頭」を組んでいた場合、その2頭が仲良く3着同着すると外れです。当たったように見えて当たらない、いちばん気づきにくい型になります。
理由は着順のみなしにあります。3着同着ならいずれか1頭だけが3着とみなされるので、もう1頭は着順を持ちません。2頭とも3着扱いにはならないわけです。
ワイドは「2頭とも3着以内」が条件なので、片方が着順を持たない以上、成立しません。3連複・3連単も同じ理屈で、3着どうしを同時に含む買い目は組めないことになります。
この1行を知らないと、レース結果を見て「当たったはずだ」と思い込むことになります。実際には規則どおりの処理です。
払戻率は、JRAが表にして公開している
同じページに、券種ごとの設定払戻率が載っています。当サイトが全記事で使ってきた値と一致しました。

| 投票法 | 設定払戻率 |
|---|---|
| 単勝・複勝 | 80.00% |
| 枠連・馬連・ワイド | 77.50% |
| 馬単・3連複 | 75.00% |
| 3連単 | 72.50% |
| WIN5 | 70.00% |
※平成26年6月7日以降(JRAの表示)
還元率・払戻率・控除率の関係で使ってきた数字は、ここが出典になります。「設定払戻率」という言葉どおり、あらかじめ決められた率であって、レースごとに動くものではありません。
動くのは、その率を掛けたあとの分け方だけです。Rは固定、WとDとPがレースごとに変わる。 表示オッズが毎回違うのは後者の3つが動くからで、控除の割合が変わっているわけではありません。
あなたが100円を投じたとき、券種を選んだ時点でRは確定しています。そこから先の配当のばらつきは、全部WとDとPの話です。
表示オッズをどう読み直すか

あなたが締切前に見る数字は、「勝馬が1頭または1組」を想定した概算でした。これを知ったうえで何が変わるかを整理します。
変わらないことが多いのが実情です。同着はめったに起きないので、普段の計算は表示オッズのままで問題ありません。 当サイトも必要的中率を出すときは表示オッズを使っています。
変わるのは、当たったのに思ったより少なかったときの説明です。同着だったなら、相手の票が厚かったほど落ち幅が大きい。それだけのことで、計算を間違えたわけでも、運が特別に悪かったわけでもありません。
同着の発生頻度は、当サイトでは集計していません。 「何レースに1回」という数字は出しませんし、「同着を狙う」「同着を避ける」という設計も作れません。
記録のうえでも、特別な扱いは要りません。投資額と払戻額に実際の数字を入れるだけです。同着だったから別枠に置く、といった処理をすると、かえって集計がややこしくなります。
強いて言えば、同着だったことをメモに1行残すと、後から「この回だけ配当が低い」と悩まずに済みます。的中者ゼロの特払いと同じで、説明のつく数字は説明を添えておくほうが記録が濁りません。
この記事が引いた範囲と、引いていない範囲

| 項目 | 当サイトの扱い |
|---|---|
| 同着の発生頻度 | 集計していないので出しません |
| 競馬法施行規則の条文 | JRAの表示を引いただけで、条文は未確認です |
| 表の売上と票の配分 | 当サイトが置いた仮の値です |
| 「同着は避けられる」 | 買う前に分かるものではありません |
式はJRAの表示、記号の意味もJRAの表示、当てはめた数字は当サイトの仮定です。3つを分けて読んでください。この記事で新しいのは当てはめ方だけで、規則そのものは当サイトが作ったものではありません。
販売ページの「回収率」にも、同じ注意が要る
馬券術の販売ページに書かれた回収率が、同着のレースをどう扱っているかは分かりません。発生が少ない事象なので、集計全体を大きく動かすものでもないはずです。
ただ、的中者ゼロのときの特払いと同じで、表示された数字の背後にある扱いは読者側で確かめようがない部分です。
コンピの極意は単勝・複勝を扱う1,800円の教材です。複勝はPが最初から3なので、同着の影響は連系より小さい側になります(単勝111%・複勝100%という販売者側の表示が販売ページにあります。2026年9月時点)。
3連馬券1点主義(8,800円)は3連系で、3着どうしを含む組み合わせが的中にならないルールが効く側です(3連単の的中率3.4%・回収率316.0%という販売者側の表示があります。2026年9月時点)。
18種を同じ式に載せた結果はハブ記事にまとめてあります。
同着の払戻を読む3ステップ

2番目で自分の票を割らないでください。 Pで割られるのは負け票の山(D)だけです。
3番目まで進めば、その払戻が規則どおりかどうかが分かります。ぴったり半分でなくても、間違いではありません。
普段の買い物では、ここまで計算する必要はありません。表示オッズが概算だと知っておくだけで、想定外の払戻に説明がつきます。
この記事の計算方法
- 払戻対象総額 = (W + D/P) × R【WIN5のみ +A/P】。JRA『馬券のルール』の「払戻金の計算方法【競馬法施行規則】」(2026年9月時点)の表示をそのまま引用しました。W=当該勝馬に対する勝馬投票券の総券面金額、D=出走した馬であって勝馬以外のものに対する総券面金額、P=勝馬の数、R=投票法ごとの払戻率、A=WIN5のキャリーオーバー。当サイトは施行規則の条文そのものを確認していません。
- 「JRAが発表した最終オッズは勝馬が1頭または1組であると想定した概算払戻率」も同じ出典の表示です。
- 同着時の倍率は当サイトの計算です。総売上1,000万円・単勝・払戻率80.0%として、票の配分を変えて上の式に当てはめました。売上と配分は仮に置いた値です。
- 複勝の理論平均配当との一致:Pに的中枠数(7頭以下は2、8頭以上は3)を入れ、でたらめに買った場合としてWを総売上÷頭数、Dを残りとして計算すると、7頭2.800倍・8頭2.133倍・12頭3.200倍・18頭4.800倍となり、当サイトの「頭数 × 払戻率 ÷ 的中枠数」と一致します。
- 設定払戻率(平成26年6月7日以降・JRAの表示):単勝80.00% / 複勝80.00% / 枠連77.50% / 馬連77.50% / ワイド77.50% / 馬単75.00% / 3連複75.00% / 3連単72.50% / WIN5 70.00%。
- 同着時の着順のみなしとワイド・3連系で的中にならない組み合わせも、同じページの表示です。
- 同着の発生頻度は出していません。 実際のレース結果を集計していないためです。
- 控除率は必要的中率の式に重ねて引いていません。 パリミュチュエル方式なので、控除はオッズの中にすでに入っています。
- 販売ページの数値は販売者による表示(2026年9月時点)で、当サイトの計算と書き分けています。当サイトはこれらの商材を購入していません。
まとめ
- 払戻対象総額 = (W + D/P) × R。 Pで割られるのは負け票の山(D)だけです
- JRAの最終オッズは「勝馬が1頭または1組」を想定した概算払戻率(JRAの表示)
- きれいに半分になるのは、2頭に同じ額が賭けられているときだけです
- 票が偏ると0.300倍から0.700倍まで動き、人気薄のほうが大きく削られます
- 複勝の「3着まで」も同じ式のP=3。 当サイトの複勝理論平均配当は、この式から完全に再現できました
- 1着同着だと2着・3着の枠が埋まるので、3着でゴールした馬は3着とみなされません
- ワイドの3着どうし、3連複・3連単の3着どうしを含む組み合わせは的中になりません
- 設定払戻率はJRAが表で公開しており、当サイトが全記事で使ってきた値と一致しました
あなたが次に同着の払戻を見たときにやることは、相手の人気を確かめることです。 相手が自分より人気だったなら、落ち幅は半分より大きくなっています。
公営競技はのめり込みすぎると生活に支障が出ることがあります。使う金額と回数はあらかじめ決めてください。ご自身やご家族のことで気になることがあれば、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(https://scga.jp/)にご相談ください。