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1.1倍の10円は、払戻金ではありません|2026年に61件、その10円は付きませんでした

※本記事はアフィリエイト広告を含みます。

1番人気の単勝を握って、ゲートが開くのを待っています。

来ました。先頭でゴール板を通過。 あなたの読みは当たりました。

掲示板を見上げます。単勝 110円。

100円が110円。10円です。 缶コーヒーも買えません。

それでも外れよりは良いと思って、あなたはその馬券を券売機に差し込みます。30年のあいだ、何度も見てきた数字です。

その10円が、払戻金ではないことをご存じでしょうか。

法律上、まったく別のお金です。そして2026年、その10円が付かなかったレースが61件あります。

この記事で出すのは、110円の内訳と、10円が消える境目の数字ひとつです。

目次

先に結論:110円は「100円+10円」の合計です

競馬法の附則に、こう書かれています。

第八条第一項の払戻金の額が、勝馬投票券の券面金額以下となる場合(第十条第一項の端数切捨てにより勝馬投票券の券面金額となる場合を含む。)において、当該勝馬に対する各勝馬投票券につき、その券面金額の十分の一に相当する金額(以下この条において「二号給付金」という。)

110円のうち10円は別勘定
110円のうち10円は別勘定

払戻金は100円まで。 そこに券面金額の10分の1、つまり10円が「二号給付金」として足されます。

JRAはこれに名前を付けています。競馬用語辞典の表示です。

「JRAプラス10」…競馬法附則第5条における「2号給付金」の通称。通常の払戻金が「100円元返し」となる場合に、10円を上乗せして110円で払戻しするもの。

払戻金と給付金は、別の制度です。 同じ窓口で一緒に出てくるので、受け取る側からは1つに見えます。

給付金は「交付することができる」と書かれています

もう1行、その上の柱書を引きます。

日本中央競馬会は、日本中央競馬会法第十九条に規定する業務のほか、当分の間、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、農林水産大臣の認可を受けて、次の各号に掲げる金額を、当該各号に定める者に対し、交付することができる。

「当分の間」「認可を受けて」「交付することができる」の3つが並んでいます。

払戻金のほうは、第8条で「交付する」と書かれています。当サイトが競馬法第8条の記事で引いたとおりです。

義務として書かれている100円と、できると書かれている10円。 110円という1つの数字の中で、この2つが並んでいます。

10円が消える境目は、支持率90.909%です

同じ附則の第3項に、交付できない場合が書かれています。

二号給付金は、当該二号給付金の交付の対象となる勝馬投票法の種類ごとの払戻金の総額に当該勝馬投票法の種類ごとの二号給付金の総額を加算した額が当該勝馬投票法の種類ごとの勝馬投票券の売得金の額を超える場合は、交付してはならない。

計算します。単勝は勝馬が1頭なので、式が短くなります。

割り算1回で出る
割り算1回で出る

元返しになっている場面では、払戻金の総額はその馬への投票の総額と同じです。上乗せはその10分の1。合計が売得金を超えてはいけないので、超えない条件は次のようになります。

その馬への支持率 ≦ 1 ÷ 1.1 = 90.909%

JRAも同じことを注記しています。

投票法ごとの「払戻金総額」と、「上乗せすべき金額の総額」の合計が「売得金の総額」を超える場合には、競馬法附則第5条第3項の規定により、「100円元返し」となります(この場合には、オッズ、払戻金は「1.0倍」「100円」で表示いたします。)

支持率が90.909%を超えると、10円は法律上、交付できません。

帯は3本あります

当サイトは第8条の記事で、元返しになる境目はその券種の払戻率そのものだと出しました。単勝なら80.000%です。

そこに90.909%を足すと、帯が3本になります。

支持率で3つに分かれる
支持率で3つに分かれる
その馬への支持率 払戻金 給付金 受け取る額
80.000%以下 100円超 なし 計算どおり
80.000%超〜90.909%以下 100円 10円 110円
90.909%超 100円 なし 100円

110円になる帯の幅は、80.000%から90.909%までの10.909ポイントしかありません。

その上に出ると、当たっても増えません。100円を出して100円が返ってきます。

しかも、この帯の上に出るのはあなたが選んだ馬が正しかったときです。誰が見ても勝つと分かる馬に票が集まり、その馬が実際に勝った日に、10円が消えます。読みが当たるほど上の帯に近づくという並びになっています。

なお、この90.909%は単勝の値です。複勝やワイドは勝馬が複数あり、払戻金の総額は勝馬ぶんの合計で判定されるので、1頭の支持率だけでは境目が決まりません。当サイトはそこまでは計算していません。

10円で、必要的中率が9.091ポイント動きます

当サイトの背骨は必要的中率 = 買い目点数 ÷ 平均配当です(点数の記事)。

1点買いの1.1倍に、これを当ててみます。

10円で9.091ポイント
10円で9.091ポイント
受け取る額 配当 1点買いの必要的中率
100円 1.00倍 100.000%
110円 1.10倍 90.909%
125円 1.25倍 80.000%

100.000%です。 1.0倍というのは、全部当てても回収率がちょうど100%にしかならない水準で、1回でも外した時点で取り返す道がありません。

10円が付くと90.909%になります。下がり幅は9.091ポイント。

10円という金額は小さいのに、必要的中率の側では「達成できない100%」と「9.091ポイントの余白がある90.909%」の違いになります。

気づきましたか。90.909%という数字が、この記事に2回出ています。 10円が消える支持率の境目も、1.1倍の必要的中率も、どちらも 1 ÷ 1.1 だからです。

1.25倍の必要的中率80.000%が単勝の払戻率と同じ数になるのも、同じ理由です。

2026年、61件は100円のままでした

JRAが件数を表示しています。2026年8月30日(日曜)終了時点の値です。

9件に1件は付かない
9件に1件は付かない
項目 件数
JRAプラス10の発生 482件
100円元返し(上乗せなし) 61件
元返しになった場面の合計 543件

543件のうち、110円になったのが88.8%、100円のままだったのが11.2%です。

約8.90件に1件は、10円が付きませんでした。

「元返しでも1.1倍にはなる」という受け取り方は、9回に8回は当たっていて、9回に1回は外れていることになります。

これはJRAの表示であって、当サイトが集計した数字ではありません。

付いているのは、ほぼ複勝です

同じ表に、券種の内訳もあります。

複勝が96.9%
複勝が96.9%
券種 件数 482件に占める割合
複勝 467件 96.9%
ワイド 8件 1.7%
単勝 7件 1.5%
その他の投票法 0件 0.0%

複勝が96.9%です。当サイトが複勝のオッズ幅の記事で扱ったとおり、複勝は的中枠が複数あるぶん配当が低い側に張り付きます。

そして馬連・馬単・3連複・3連単は、2026年に1件も起きていません。

あなたが単勝を買っているなら、7件のほうにいます。 複勝を買う日のほうが、この10円に当たる回数は多くなります。

上乗せの合計は約31.3億円です

金額も表示されています。

1件で約649万円
1件で約649万円
項目 値
2026年の上乗せ合計金額 約31.3億円
発生件数 482件
1件あたり 約6,493,776円
票数に直すと 10円 × 3億1,300万票

1件で約649万円が上乗せされています。10円が64万9,378票ぶん配られた計算です。

あなたが受け取る10円は、その1票ぶんです。小さく見えるのは、1枚で受け取っているからで、制度の側では億の単位で動いています。

なぜ「必ず付く」と思ってしまうのか

表示の作りが、そう見せています。JRAはこう書いています。

通常の払戻金では「100円」であっても、JRAプラス10によって「110円」となる場合には、オッズ、払戻金は、10円上乗せ分を含む「1.1倍」「110円」で表示いたします。注記:通常の払戻金で「110円」となる場合も同様に「1.1倍」「110円」で表示いたします。

同じ110円が2種類ある
同じ110円が2種類ある

1.1倍という表示が、2つの意味を持っています。 計算だけで110円になった場合と、100円に10円が足されて110円になった場合。掲示板の上では区別がつきません。

しかも、あなたが見るのはほぼ前者と後者のどちらかで、100円のままの表示を見る機会が11.2%しかありません。 9回に8回は110円なので、「そういうものだ」と学習していきます。

そして、その10円は受け取ったときに小さすぎて、記憶に残りません。 大きな配当は覚えていても、110円の払戻がどのレースだったかを思い出せる人は少ないはずです。印象に残らない金額を、毎回もらえているかどうかで数えるのは無理があります。

あなたの1年を、数字にします

1番人気の単勝を1点100円、年200レース買っているとします。投資は20,000円です。

1番人気の単勝オッズが1.1倍になる場面は、そう多くはありません。ただし堅い馬を選ぶほど、この帯に近づきます。

引いた範囲と引いていない範囲
引いた範囲と引いていない範囲
よくある読み方 当サイトの扱い
「1.1倍は最低保証」 法律上の保証は100円まで
「10円は誤差」 必要的中率が9.091ポイント動く
「複勝でも90.909%が境目」 単勝の値。複勝は計算していない
「61件はよく起きる」 JRAの表示。当サイトの集計ではない

仮に200レースのうち20レースが110円だったとすると、10円 × 20 = 200円。年間投資20,000円に対して1.0%です。

その20レースが100円のままだったら、回収率は1.0ポイント下がります。 1.0ポイントは、当サイトが回収率の記事で扱った幅の中では小さいほうですが、払戻率80.0%の世界で自力で1.0ポイント動かすのは簡単ではありません。

なお20レースという数は当サイトが置いた仮の値です。あなたの実際の本数を入れ直してください。

30年ぶんに引き延ばすと、200円 × 30年で6,000円。金額としては1回の食事ぶんで、財産が変わるような話ではありません。

それでも見ておく価値があるのは、この6,000円が読みの良し悪しとは無関係に決まっているからです。当たった馬の支持率が90.909%の上か下かだけで決まり、あなたの選び方では動かせません。

自分の努力で動く部分と、制度の側で決まっている部分。110円という数字の中で、その2つが10円ずつ隣り合っています。

販売ページの「回収率」には、この10円が入っています

馬券術の販売ページに、回収率や実績が並んでいます。その検証が単勝や複勝の堅い帯を含んでいるなら、集計した払戻の中に二号給付金が混ざっています。

当サイトはこれを問題だとは書きません。受け取った金額で数えるのが正しいからです。ただしその10円は附則の制度によるもので、払戻率とは別の出どころだという点だけ、頭の隅に置いておいてください。

この線引きで、手元の商材を2つに分けられます。堅い券種を扱うものと、配当の大きい券種を扱うものです。

前者の例がコンピの極意(1,800円)。単勝24.6%・回収率111%という販売者側の表示です(2026年9月時点)。単勝の的中率が24.6%という水準は、上位人気を拾う設計を示しています。そうであれば、検証の中に1.1倍の帯が入っていた可能性があります。

後者の例が3連馬券1点主義(8,800円)。3連単1点で的中率3.4%・回収率316.0%の表示(2026年9月時点)。3連単は2026年に1件も起きていないので、こちらの数字に附則の10円は入りません。

同じ「回収率」という言葉でも、中身に附則の制度が混ざるかどうかが券種で分かれます。 差は大きくありませんが、由来の違う金額が同じ欄に入っているという点は知っておいて損はありません。19種の券種の並びはハブ記事の表にあります。

1.1倍を見たときの3ステップ

割り算1回だけ
割り算1回だけ

3番目を省かないでください。 内訳が分かっても、必要的中率に直さなければ次のレースの判断が変わりません。

やることは掲示板を見て割り算を1回するだけで、券売機に馬券を差し込む前の数秒で終わります。

そして、この3ステップで何かが有利になるわけではありません。10円が付くかどうかは、買った後に決まります。 変わるのは、110円という数字を見たときに何を見ているかだけです。


この記事の計算方法

  • 二号給付金は、競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)附則第5条第1項第2号の表示です。e-Gov法令検索(2026年9月時点)で公開されています。「第八条第一項の払戻金の額が、勝馬投票券の券面金額以下となる場合(第十条第一項の端数切捨てにより勝馬投票券の券面金額となる場合を含む。)において、当該勝馬に対する各勝馬投票券につき、その券面金額の十分の一に相当する金額」。
  • 同条第1項柱書は「当分の間」「あらかじめ、農林水産大臣の認可を受けて」「交付することができる」と書かれています。払戻金の第8条第1項が「交付する」であるのと文言が異なります。当サイトは条文の解釈は行っていません。
  • 附則第5条第3項:「二号給付金は、当該二号給付金の交付の対象となる勝馬投票法の種類ごとの払戻金の総額に当該勝馬投票法の種類ごとの二号給付金の総額を加算した額が当該勝馬投票法の種類ごとの勝馬投票券の売得金の額を超える場合は、交付してはならない」。
  • 支持率90.909%は、単勝(勝馬1頭)で元返しになっている場面の計算です。払戻金の総額=その馬への投票の総額、上乗せの総額=その10分の1なので、合計が売得金を超えない条件は 支持率 ≦ 1 ÷ 1.1 = 90.909% になります。複勝・ワイドは勝馬が複数あり、払戻金の総額は勝馬ぶんの合計で判定されるため、1頭の支持率だけでは境目が決まりません。当サイトは計算していません。
  • 元返しになる境目は、その券種の払戻率そのものです(単勝80.0%)。第8条第2項「前項の払戻金の額が、勝馬投票券の券面金額に満たないときは、その券面金額を払戻金の額とする」が根拠で、当サイトの別記事で導いています。
  • 必要的中率 = 買い目点数 ÷ 平均配当。1.00倍で100.000%、1.10倍で90.909%、1.25倍で80.000%。1.00倍と1.10倍の差は9.091ポイントです。90.909%が支持率の境目と必要的中率の両方に出るのは、どちらも 1 ÷ 1.1 だからです。
  • 件数と金額はJRAの表示です(『JRAプラス10』および競馬用語辞典、2026年9月16日取得、2026年8月30日(日曜)終了時点)。発生482件(複勝467件 / ワイド8件 / 単勝7件 / その他の投票法0件)、上乗せ合計金額 約31.3億円、100円元返し61件。当サイトが集計した数字ではありません。
  • 当サイトの計算:482+61=543件のうち110円が88.8%、100円のままが11.2%(約8.90件に1件)。券種別は複勝96.9% / ワイド1.7% / 単勝1.5%。1件あたりの上乗せは 31.3億円 ÷ 482 = 約6,493,776円、票数に直すと10円 × 3億1,300万票。
  • 年200レース・20レースが110円という読者スケールは、当サイトが置いた仮の値です。10円 × 20 = 200円で、年間投資20,000円に対して1.0%になります。
  • 払戻金が10円単位になる仕組みは、条文からは断定できないので書いていません。 競馬法第6条第1項に「券面金額十円の勝馬投票券」、同条第2項に「前項の勝馬投票券十枚分以上を一枚をもつて代表する勝馬投票券」、第10条第1項に「一円未満の端数があるときは、その端数は、これを切り捨てる」とあることまでが確認できた範囲です。
  • 附則第5条第1項第1号には一号給付金(売得金の額に政令で定める率を超えない範囲内の率を乗じた額)もあり、競馬法施行令第24条第1項で率は「百分の五」、算式は競馬法施行規則の付録第七「(T/P)×A」と定められています。ただしJRAが現にこれを交付しているかは当サイトでは確認できていないので、この記事の計算には入れていません。
  • 控除率は必要的中率の式に重ねて引いていません。 パリミュチュエル方式なので、控除はオッズの中にすでに入っています。
  • 販売ページの数値は販売者による表示(2026年9月時点)で、当サイトの計算と書き分けています。当サイトはこれらの商材を購入していません。

まとめ

  • 110円は、払戻金100円(第8条2項)と二号給付金10円(附則第5条1項2号)の合計です
  • 給付金の側は「当分の間」「認可を受けて」「交付することができる」と書かれています
  • 単勝でその馬への支持率が90.909%を超えると、10円は交付できません(附則第5条3項)
  • 110円になる帯は80.000%〜90.909%の10.909ポイント。その上は100円のままです
  • 2026年はJRA表示で482件付き、61件は付きませんでした(543件中11.2%、約8.90件に1件)
  • 内訳は複勝467件=96.9%。馬連・馬単・3連複・3連単は0件でした
  • 1点買いの必要的中率は1.00倍で100.000%、1.10倍で90.909%。10円で9.091ポイント動きます
  • 90.909%が2回出るのは、支持率の境目も1.1倍の必要的中率も 1 ÷ 1.1 だからです

次に110円を受け取ったら、その10円が何であるかを1回だけ思い出してください。 100円は法律が交付すると書いたお金で、10円は交付することができると書いたお金です。

→ 馬券術19種を券種と必要的中率で並べた表はこちら


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