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平日の夜、あなたはエクセルを開きます。過去データを条件で切って、複勝率を出す。もう半年続けています。
「この条件、複勝率30%ある」。該当は10頭。手帳に書き写します。同じように見つけた条件が、いま10個たまりました。
日曜、あなたはその条件に合う馬を買います。来ません。翌週も来ません。
「集計では30%あったのに、なぜ実戦で再現しないんだ」
集計が間違っているわけではありません。該当10頭で複勝率30%は、でたらめでも22.48%の確率で出ます。
先に結論:条件は2つのテストを通ってから使う
データで作った条件が使えるかどうかは、2つ確かめれば決まります。
テスト1(採算):除外した買い目の「1点あたり的中率」が、残した買い目より低いか
テスト2(偶然):その成績が、でたらめでも出てしまう範囲に入っていないか
多くの人がやっているのは、どちらでもありません。成績の数字が大きいかどうかを見ています。 30%は20%より良さそうに見える、という判断です。
その判断が通らない理由を、順番に出します。
該当10頭の「複勝率30%」は、22.48%の確率で偶然に出ます

18頭立てでたらめに1頭選ぶと、複勝圏(3着以内)に入る確率は 3 ÷ 18 = 16.667% です。この基準は的中率の記事で出しました。
でたらめな条件で10頭を集めたとき、3頭以上が複勝圏に来る確率を計算すると 22.48% です。3頭以上なら「複勝率30%」と書けます。
つまり4回に1回は、何の意味もない条件が「複勝率30%」に見えます。 あなたの条件が当たっているのか、たまたまなのか、10頭では区別がつきません。少ないサンプルで成績が振れる話は回収率の記事でも扱いました。
該当数を増やすと、偶然で出る確率は落ちます。

| 該当数 | 「複勝率30%以上」に必要な頭数 | でたらめでもそうなる確率 |
|---|---|---|
| 10頭 | 3頭以上 | 22.48% |
| 20頭 | 6頭以上 | 10.18% |
| 30頭 | 9頭以上 | 5.06% |
| 50頭 | 15頭以上 | 1.38% |
| 100頭 | 30頭以上 | 0.07% |
あなたが10頭で見た「複勝率30%」と100頭で見たそれは、重みが321倍違います。成績の数字より、該当数のほうが情報を持っています。
100個試せば、7.0個は偶然で見つかります
ここが本当の問題です。あなたは条件を1つだけ試したわけではありません。
エクセルで切り方を変えながら、何十通りも試したはずです。 距離、コース、枠順、前走着順、騎手、休養明け。組み合わせれば100通りはすぐに超えます。
でたらめな条件を100個試したとき、偶然で「でたらめの2倍以上(複勝率33.3%以上)」に見える条件が何個出るかを計算しました。

| 1つの条件の該当数 | 100個試して偶然で「2倍以上」に見える数 |
|---|---|
| 10頭 | 7.0個 |
| 30頭 | 2.0個 |
| 50頭 | 0.2個 |
| 100頭 | 0.0個 |
該当10頭の条件を100通り試せば、実力ゼロでも7.0個は見つかります。 あなたの手帳の10個は、この7.0個と同じ場所から出てきた可能性があります。なお該当数を数えるときは頭数もそろえてください(理由はスピード指数の記事にまとめました)。
該当50頭なら0.2個。同じ100通りを試しても、拾ってしまう偶然は35分の1です。切り方を細かくするほど該当数が減り、偶然を拾いやすくなります。
主張が小さいほど、必要な該当数は増えます
「でたらめの2倍」ならまだ楽なほうです。控えめな主張ほど、多くのサンプルが要ります。

偶然で出る確率を1%未満に抑えるのに必要な該当数です。
| 主張 | 複勝率 | 必要な該当数 |
|---|---|---|
| でたらめの3.0倍 | 50.0% | 9頭 |
| でたらめの2.0倍 | 33.3% | 31頭 |
| でたらめの1.5倍 | 25.0% | 113頭 |
| でたらめの1.2倍 | 20.0% | 691頭 |
「ちょっと良さそう」な条件ほど、証明に何百頭も要ります。 1.2倍を言うのに691頭。あなたがエクセルで切った条件のうち、該当が691頭ある切り方はいくつあるでしょうか。
逆に言えば、該当が少ないのに採用できるのは「でたらめの3倍」級の飛び抜けた条件だけです。9頭で複勝率50%なら、偶然で出る確率は0.90%まで落ちます。
条件を足すと的中率が下がるのは、正常です
テスト2を通ったら、次はテスト1です。こちらは採算の話になります。
あなたが条件を足すと候補が減り、買い目点数が減り、的中率も下がります。下がること自体は問題ではありません。 見るのは1点あたりの的中率です。

20点の買い目を、条件で10点に絞った3つのケースです。
| 残した10点 | 除外した10点 | 全体20点 | 判定 | |
|---|---|---|---|---|
| 良いフィルタ | 的中率12%(1点1.20%) | 的中率3%(1点0.30%) | 1点0.75% | 改善 |
| 無意味なフィルタ | 的中率12%(1点1.20%) | 的中率12%(1点1.20%) | 1点1.20% | 不変 |
| 悪いフィルタ | 的中率6%(1点0.60%) | 的中率18%(1点1.80%) | 1点1.20% | 悪化 |
判定は1行で書けます。
フィルタが効く条件 = 除外した目の1点あたり的中率 < 残した目の1点あたり的中率
除外した側が残した側より走っているなら、そのフィルタは逆に効いています。 「悪いフィルタ」の行は、1点あたりが1.20%から0.60%へ半分になりました。的中率だけを見ていると、この悪化に気づけません。
1点あたりの的中率で判定する理由は点数と的中率の記事にまとめました。
除外した側も記録してください
テスト1を通すには、買わなかった馬の結果が要ります。これが実務でいちばん抜けます。
条件で除外した10点が、そのレースで来ていたかどうか。記録していなければ、フィルタが効いたのか逆に効いたのかは永久に分かりません。
やることは、除外した買い目に印をつけて、レース後に当たっていたかを見るだけです。買う必要はありません。 紙の上で残しておけば足ります。
これを20レース続ければ、除外側の1点あたり的中率が出ます。残した側と比べて低ければ、そのフィルタは採用です。点数そのものを減らす効果は馬券の点数の記事で別に計算しています。
条件を採用する前の3ステップ

- 該当数を数える。 31頭未満なら「でたらめの2倍」すら主張できません
- 何通り試したかを数える。 100通り試したなら、上位7個は偶然の可能性があります
- 除外した側の1点あたり的中率を測る。 残した側より低ければ採用
あなたは3つとも通った条件だけを手帳に残します。通らなかった条件を消すのが、この作業の中身です。
いま手元にある10個のうち、いくつが残るか。おそらく1つか2つです。それでも、実戦で再現しない8個を持ち続けるよりは前に進みます。
「せっかく半年集めたのに」
ここが正直つらいところです。半年ぶんの集計が、大半は偶然かもしれない。
「じゃあ何を信じればいいんだ」——この気持ちは計算では消えません。数字の側から言えるのは、消える条件が多いこと自体は失敗ではない、ということだけです。
100通り試して7個の偶然が混ざるのは、あなたの集計が下手だからではありません。 誰がやっても同じ数だけ混ざります。混ざると知らずに使うか、知って弾くかの違いだけです。
そして弾く作業は速い。該当数を見るだけで、31頭未満は即座に落ちます。 半年ぶんの10個なら、10分で仕分けが終わります。
該当数を書く欄が1つあると、何が変わるか

該当数の欄がある手帳は、条件を集めた時点でふるいにかかります。「複勝率35%・該当8頭」は書いた瞬間に落ちる。書き写す手が止まるので、時間も節約できます。
あなたに残った条件は該当31頭以上なので、次に進めます。除外側を20レース記録して、1点あたりで比べる。ここまで来た条件だけが、実戦で使うものになります。
いまの手帳には該当数の欄がありません。だから複勝率だけが並び、大きい順に信用してしまいます。大きい数字ほど該当数が少ないという関係があるので、順番はむしろ逆になります。
足すのは1列です。該当数。集計画面にすでに出ている数字です。
販売ページの「検証レース数」を見る
市販の馬券術も、同じ物差しで読めます。見るのは成績より先に検証レース数です。
| 馬券術 | 検証の規模 | 当サイトの採点 |
|---|---|---|
| クラウンスペシャルホース | 検証21年・64,952レース | 勝率54%なら平均1.85倍が必要 |
| スーパープレデター馬券術 | 検証11,378レース | 必要的中率33.6% |
| 3連馬券1点主義 | 販売ページに記載なし | 必要1.08% / 余裕3.16倍 |
クラウンスペシャルホースの64,952レースは、当サイトが見た18種のなかで最大です。この規模なら、上の表でいう「でたらめの1.2倍」でも十分に主張できます。 スーパープレデターの11,378レースも同様です。
検証レース数の記載がない教材が悪いわけではありません。ただし該当数が分からない成績は、テスト2を通せません。 購入後に自分で測る部分が増える、という読み方になります。
成績・回収率は各販売ページの表示(2026年9月時点)からの逆算です。当サイトが購入して検証した数値ではありません。
よくある質問
Q. データ予想の条件は、該当何頭あれば信用できますか
主張の大きさで変わります。偶然で出る確率を1%未満にするなら、でたらめの2倍(複勝率33.3%)で31頭、1.5倍(25.0%)で113頭、1.2倍(20.0%)で691頭が必要です。
Q. 該当10頭で複勝率30%の条件は使えますか
使えません。でたらめでも22.48%の確率でその成績が出ます。4回に1回は意味のない条件がそう見える計算です。
Q. たくさん条件を試すと何が問題ですか
偶然を拾います。該当10頭の条件を100通り試せば、実力ゼロでも7.0個が「でたらめの2倍」に見えます。該当50頭なら0.2個まで下がります。
Q. 条件を足したら的中率が下がりました
正常です。判定に使うのは的中率ではなく1点あたりの的中率で、除外した目の1点あたり < 残した目の1点あたり なら改善しています。
Q. 除外した馬の結果はどう記録しますか
買わずに、除外した買い目に印だけつけてレース後に照合します。20レース分あれば、除外側の1点あたり的中率が出ます。
Q. でたらめの複勝率はいくつですか
18頭立てで1頭選ぶなら 3 ÷ 18 = 16.667% です。頭数が変われば変わるので、頭数もそろえてください。
Q. 販売ページで最初に見るべき数字は何ですか
検証レース数です。成績の大きさより先に規模を見ると、テスト2を通せるかどうかがその場で分かります。
まとめ
- 該当10頭の「複勝率30%」は、でたらめでも22.48%の確率で出ます(18頭立て・複勝の基準16.667%)
- 該当数を増やすと偶然は消えます。20頭10.18% / 30頭5.06% / 50頭1.38% / 100頭0.07%
- 条件を100通り試すと、該当10頭なら7.0個が偶然で「2倍」に見えます。 該当50頭なら0.2個
- 偶然確率1%未満に必要な該当数は、2倍で31頭・1.5倍で113頭・1.2倍で691頭
- フィルタの合否は 除外した目の1点あたり的中率 < 残した目の1点あたり的中率
- 条件を足して的中率が下がるのは正常です。1点あたりで比べてください
今夜、手帳の条件に該当数の列を足してください。31頭未満の行は、その場で消せます。
テストを通った条件で、どの馬券術なら線を越えられるのか。18種を同じ物差しで採点した一覧があります。
この記事の計算方法
- 必要的中率 = 買い目点数 ÷ 平均配当オッズ(控除率は入れません。オッズ確定時にすでに引かれています)
- 回収率 = 的中率 × 平均配当オッズ ÷ 買い目点数
- でたらめの複勝率 = 3 ÷ 18 = 16.667%(18頭立てで1頭選んだ場合)
- 偶然で出る確率は二項分布で計算(該当n頭・でたらめの確率16.667%のとき、k頭以上が複勝圏に入る確率)
- 「100個試して偶然で見つかる数」= 1つの条件が偶然で基準を超える確率 × 100
- 必要な該当数 = 偶然で出る確率が1%未満になる最小のn(2倍31頭 / 1.5倍113頭 / 1.2倍691頭)
- フィルタの合否 = 除外した目の1点あたり的中率 < 残した目の1点あたり的中率。
1点あたりの的中率 = 的中率 ÷ 買い目点数(複勝・ワイドは当たった本数で数えます) - 払戻率はJRA公表値(2014年6月7日改定。単勝・複勝80.0%、枠連・馬連・ワイド77.5%、馬単・3連複75.0%、3連単72.5%)
- 本文の「複勝率30%」「該当10頭」「100通り」などは、読み方を示すための例示です。 実在の集計値ではありません
- 計算は「条件に実力がまったくない(でたらめと同じ)」という仮定の下で出した値です。実際の条件が実力を持つかどうかは、この計算では判定できません
- 馬券術の的中率・回収率・検証規模は各販売ページの表示(2026年9月時点)です。当サイトが購入して検証した数値ではありません
- 本記事は的中や利益を保証するものではありません。勝馬投票券の購入はご自身の判断と責任において行ってください。20歳未満の方は購入できません