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「競馬は控除率が25%もあるから、そもそも勝てない」
そう聞いて、あなたは半分納得します。残りの半分では「じゃあなぜ勝っている人がいるのか」が引っかかったままです。
そしていざ自分で採算を計算するとき、控除率をどこに入れればいいのか分からず、引いたり引かなかったりしています。
引いてはいけません。引くと、必要な的中率が1.333倍まで過大に出ます。
先に結論:控除率はオッズの中に、もう入っています

当サイトの式は 必要的中率 = 買い目点数 ÷ 平均配当オッズ です。ここに控除率は入っていません。
一見すると入れたくなります。「25%引かれるんだから、その分を式に入れるべきでは」と。実際、当サイトも最初はこう書いていました。
誤り: 必要的中率 = 点数 ÷ (平均配当 × (1 − 控除率))
正しい: 必要的中率 = 点数 ÷ 平均配当
理由はオッズの決まり方にあります。日本の競馬で使われているパリミュチュエル方式では、オッズは「総投票額 × (1 − 控除率) ÷ その馬への投票額」で確定します。つまり控除はオッズが決まる前に済んでいます。
すでに引かれたものを式でもう一度引くと、二重計上になります。
二重に引くと、必要的中率が1.333倍になります
過大になる倍率は、割り算1本で出ます。
過大になる倍率 = 1 ÷ 払戻率

| 券種 | 払戻率 | 控除率 | 二重計上したときの過大倍率 |
|---|---|---|---|
| 単勝・複勝 | 80.0% | 20.0% | 1.250倍 |
| 枠連・馬連・ワイド | 77.5% | 22.5% | 1.290倍 |
| 馬単・3連複 | 75.0% | 25.0% | 1.333倍 |
| 3連単 | 72.5% | 27.5% | 1.379倍 |
あなたが平均配当3.0倍の買い目を1点で買うとすると、こうなります。
- 正しい必要的中率 = 1 ÷ 3.0 = 33.3%
- 二重計上した必要的中率 = 1 ÷ (3.0 × 0.80) = 41.7%
8.4ポイントの差です。33.3%で足りるところを、41.7%必要だと思い込むことになります。
成立している買い方が「不成立」に見える帯があります
この誤差が実務でどう効くか。余裕(実績的中率 ÷ 必要的中率)が1.000倍から1÷払戻率までの範囲にある買い方が、全部「不成立」に見えます。

| 券種 | 誤って不成立に見える余裕の範囲 |
|---|---|
| 単勝 | 1.000〜1.250倍 |
| 馬連 | 1.000〜1.290倍 |
| 3連複 | 1.000〜1.333倍 |
| 3連単 | 1.000〜1.379倍 |
具体例を置きます。あなたが3連複を10点、平均配当100倍で狙っていて、実績的中率が12%だったとします。
| 必要的中率 | 余裕 | 判定 | |
|---|---|---|---|
| 正しい計算 | 10.0% | 1.200倍 | 成立 |
| 二重計上 | 13.3% | 0.900倍 | 不成立に見える |
同じ買い方が、式ひとつで逆の結論になります。
そして余裕1.0〜1.3倍という帯は、実際にいちばん人が多い場所です。3倍も4倍も余裕がある買い方はめったにありません。二重計上は、成立しているぎりぎりの買い方を片端から切り捨てます。
当サイトも、一度この間違いをしました
正直に書いておきます。このサイトは2026年9月7日まで、二重計上した式を使っていました。
立ち上げ時の手順書に 必要的中率 = 1 ÷ (平均配当 × (1 − 控除率)) と書いてあり、そのまま記事の設計に使っていました。パリミュチュエル方式の定義を確認した時点で誤りに気づき、同日に式と手順書の両方を直しています。
気づきにくい間違いです。 控除率という実在するコストを式に入れているので、一見すると丁寧な計算に見えます。出てくる数字も「厳しめ」なので、慎重にやっているつもりになれます。
慎重ではなく、ただ間違っています。 厳しめに見積もったのではなく、越えるべき線を1.333倍の高さに引いてしまっただけです。
還元率・控除率・払戻率の関係
言葉が3つあるので整理します。

還元率 = 払戻率(同じものを指します)
控除率 = 1 − 払戻率
JRAは公式に「払戻率」を使っています。「還元率」は同じものの言い換えで、「控除率」はその残りです。
| 券種 | 払戻率(=還元率) | 控除率 |
|---|---|---|
| 単勝・複勝 | 80.0% | 20.0% |
| 枠連・馬連・ワイド | 77.5% | 22.5% |
| 馬単・3連複 | 75.0% | 25.0% |
| 3連単 | 72.5% | 27.5% |
| WIN5 | 70.0% | 30.0% |
2014年6月7日の改定でこの数字になりました。券種によって7.5〜10ポイント違うので、「競馬の控除率は25%」と一括りにすると、単勝と3連単で5ポイント以上ずれます。
控除率は「引く」のではなく、3か所に「置く」ものです

使わないわけではありません。置く場所が3つあります。
| 置く場所 | 使い方 | 具体例 |
|---|---|---|
| ① 越えるべき水準 | 何も考えず買った人の回収率が払戻率 | 3連複なら75.0%が最初の線 |
| ② 足せる点数の上限の分母 | (期待値 − 1) ÷ 控除率 | 期待値150%なら3連複で2.00点 |
| ③ オッズを勝率に直すとき | 市場の勝率 = (1÷オッズ) × 払戻率 | オッズ10倍なら8.00% |
①は回収率の記事、②は期待値の記事、③は期待値の計算の記事で使っています。
3か所とも、必要的中率の式の外にあります。 中に入れるのだけが間違いです。
「控除率が高いから勝てない」は半分だけ正しい
敵の主張に戻ります。
正しい半分は、何も考えずに買えば必ず払戻率まで落ちるということです。3連複を適当に買い続ければ、長期的には75.0%に収束します。これは避けようがありません。
正しくない半分は、「だから誰も勝てない」の部分です。あなたが下に沈むかどうかは、平均とは別の話です。払戻率は全体の平均であって、個人の上限ではありません。全体が75.0%でも、その中で上と下に分かれます(平均の記事に分布を書きました)。
そして控除率の高さは、券種を選ぶだけで動かせます。

年200レース・1レース2,000円(年40万円)買う人の場合です。
| 券種 | 控除率 | 年間の控除額 |
|---|---|---|
| 単勝・複勝 | 20.0% | 80,000円 |
| 枠連・馬連・ワイド | 22.5% | 90,000円 |
| 馬単・3連複 | 25.0% | 100,000円 |
| 3連単 | 27.5% | 110,000円 |
3連単から3連複に替えるだけで、年1万円。予想の精度を上げなくても、券種を1つ替えるだけで出てくる差です。
買う前に、控除率をどこに置くか
順番はこうなります。
- 必要的中率を出す(点数 ÷ 平均配当。控除率は入れない)
- 越えるべき線を確認する(払戻率。3連複なら75.0%)
- 点数の上限を出す(期待値が分かるなら(期待値−1)÷控除率)
1で控除率を入れないことだけ守れば、あとは自然に3か所に収まります。
あなたの計算が合っているかの検算も簡単です。でたらめに買ったときの回収率が、その券種の払戻率とぴったり一致するか。 一致しなければ、どこかで控除を二重に引いています。
自分の式を1回だけ点検する

いま使っている計算に控除率が入っているなら、外してみてください。
必要的中率が下がります。3連複なら1.333分の1、つまり25%低くなります。そのぶん、いままで「届いていない」と思っていた買い方が、線を越えるかもしれません。
たとえばあなたの実績的中率が11%で、必要的中率を二重計上で13.3%と出していたなら、正しくは10.0%です。余裕0.83倍だと思っていたものが、1.10倍になります。
判定が逆になるということは、あなたがやめようとしていた買い方を続ける理由が出てくるということでもあります。式を1行直すだけで、来週の行動が変わります。
逆に外しても届かないなら、それは本当に届いていません。そのときは点数か配当帯を動かす話になり、回収率の計算の記事の手順に戻ります。
販売ページの数字を読むときも同じです
市販の馬券術の的中率と回収率から必要的中率を逆算するときも、控除率は引きません。
| 馬券術 | 販売ページ表示 | 逆算した平均配当 | 必要的中率 |
|---|---|---|---|
| 3連馬券1点主義 | 的中率3.4% / 回収率316.0% | 92.9倍 | 1.08% |
| スーパープレデター馬券術 | 勝負レースで137% | — | 33.6% |
上の1.08%は、1 ÷ 92.9 です。ここで控除率(3連単27.5%)を引くと1.48%になり、余裕3.16倍が2.29倍に見えます。 商材の評価そのものが変わってしまいます。
※的中率・回収率はいずれも販売ページの表示で、当サイトが購入して検証した数値ではありません。
よくある質問
Q. 競馬の還元率はいくつですか
券種によって違い、単勝・複勝80.0%、枠連・馬連・ワイド77.5%、馬単・3連複75.0%、3連単72.5%、WIN5 70.0%です(JRA公表値・2014年6月7日改定)。
Q. 還元率と払戻率は違うものですか
同じものです。JRAは「払戻率」を使っています。控除率はその残りで、1 − 払戻率です。
Q. なぜ控除率を式から引いてはいけないのですか
オッズが「総投票額 × (1 − 控除率) ÷ その馬への投票額」で確定するためです。控除はオッズの中ですでに引かれています。
Q. 引いてしまうとどうなりますか
必要的中率が 1 ÷ 払戻率 倍だけ過大になります。3連複なら1.333倍。余裕1.0〜1.333倍の買い方が全部「不成立」に見えます。
Q. 控除率はどこで使うのですか
3か所です。越えるべき水準(払戻率)、足せる点数の上限の分母、オッズを勝率に直すとき。いずれも必要的中率の式の外です。
Q. 控除率が低い券種を選べば有利ですか
同じ買い方をするなら有利です。3連単から3連複に替えるだけで、年40万円買う人で年1万円の差が出ます。
Q. 計算が合っているか確かめる方法はありますか
でたらめに買ったときの回収率が、その券種の払戻率とぴったり一致するかを見てください。一致しなければ二重計上を疑います。
まとめ
- 還元率 = 払戻率。控除率 = 1 − 払戻率。 JRAは「払戻率」を使い、券種で70.0〜80.0%です
- 控除率を必要的中率の式に入れてはいけません。 オッズが確定した時点で、すでに引かれています
- 入れると 1 ÷ 払戻率 倍だけ過大(3連複1.333倍)。平均配当3.0倍なら33.3%が41.7%に見えます
- 余裕1.000〜1.333倍の買い方が、全部「不成立」に見えます(3連複)。いちばん人が多い帯です
- 控除率は引くのではなく3か所に置く。越えるべき水準/点数の上限の分母/オッズを勝率に直すとき
いま使っている計算式に控除率が入っていないか、1回だけ見てください。入っていたら外すだけで、必要的中率が25%下がります(3連複)。
外したあとの数字で、どの馬券術なら線を越えられるのか。18種を同じ式で採点した表があります。
この記事の計算方法
- 必要的中率 = 買い目点数 ÷ 平均配当オッズ(控除率は入れません)
- 誤った式 = 点数 ÷ (平均配当 × (1 − 控除率))。正しい式の 1 ÷ 払戻率 倍になります
- 還元率 = 払戻率/控除率 = 1 − 払戻率
- パリミュチュエル方式のオッズ = 総投票額 × (1 − 控除率) ÷ その馬への投票額。控除はオッズ確定前に済んでいます
- 控除率を使う3か所 = ①越えるべき水準(払戻率)/②足せる点数の上限((期待値−1)÷控除率)/③市場の勝率((1÷オッズ)×払戻率)
- 年間の控除額 = 年間投資額 × 控除率(本文は年200レース・1レース2,000円=年40万円で計算)
- 払戻率はJRA公表値(2014年6月7日改定。単勝・複勝80.0%、枠連・馬連・ワイド77.5%、馬単・3連複75.0%、3連単72.5%、WIN5 70.0%)
- 当サイトは2026年9月7日まで二重計上した式を使っており、同日に修正しました。 それ以前の設計に基づく記述が残っていた場合は、この記事の式が正しいものです
- 本文の「実績的中率12%」「年40万円」などは読み方を示すための例示です
- 馬券術の的中率・回収率は各販売ページの表示(2026年9月時点)です。当サイトが購入して検証した数値ではありません
- 本記事は的中や利益を保証するものではありません。勝馬投票券の購入はご自身の判断と責任において行ってください。20歳未満の方は購入できません