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「今年は87%か。去年は112%だったのにな」
年末、あなたは1年ぶんの投票履歴を集計して、電卓を置きます。買い方は変えていません。券種も、点数も、狙う配当帯も去年と同じ。それなのに25ポイント落ちました。
何が悪くなったのかを考える前に、確かめてほしいことがあります。
その87%と112%の差は、実力の差ではない可能性が高いです。
先に結論:40レースの回収率は、±84ポイント振れます

回収率100%ちょうどの買い方をしている人が、40レース買ったとします。集計して出てくる回収率は、±84.3ポイントの幅で散らばります。
つまり 15.7%〜184.3%のどこに着地してもおかしくない(±1標準偏差の範囲)ということです。
去年112%・今年87%という25ポイントの差は、この幅の中にすっぽり入ります。買い方は何も変わっていないのに、数字だけが動いたというのが、いちばん素直な説明になります。
レース数を増やすと、どこまで絞れるか

回収率100%の買い方について、集計するレース数を変えたときの散らばりです。
| レース数 | 的中率3.4%(平均29.4倍) | 的中率10%(平均10倍) | 的中率25%(平均4倍) |
|---|---|---|---|
| 40レース | 15.7〜184.3% | 52.6〜147.4% | 72.6〜127.4% |
| 100レース | 46.7〜153.3% | 70.0〜130.0% | 82.7〜117.3% |
| 400レース | 73.3〜126.7% | 85.0〜115.0% | 91.3〜108.7% |
| 1,000レース | 83.1〜116.9% | 90.5〜109.5% | 94.5〜105.5% |
3列とも、中身はまったく同じ実力(回収率100%)の買い方です。違うのは的中率と配当の組み合わせだけ。
的中率が低く配当が高い買い方ほど、数字が暴れます。 3連単を1点で狙う人が「今年は200%だった」と言っても、それは実力ではなく、たまたま当たった週があっただけかもしれません。
なお、この表は配当が毎回ぴったり同じという、いちばん楽観的な仮定で計算しています。実際の配当は当たるたびに違うので、本当の散らばりはこれより大きくなります。
回収率を±10ポイントで測るのに必要なレース数

「せめて±10ポイントの精度で知りたい」としたら、何レース必要か。
| 買い方 | 必要なレース数 | 土日4レースなら |
|---|---|---|
| 的中率3.4%(平均29.4倍) | 2,841レース | 14.2年 |
| 的中率10%(平均10倍) | 900レース | 4.5年 |
| 的中率25%(平均4倍) | 300レース | 1.5年 |
3連単を1点で狙う買い方だと、14年かかります。その14年のあいだに、あなたも競馬も変わります。
回収率は、個人が自分の手元で測り終えられる数字ではありません。 年末に集計しているあの数字は、実力の推定値としては、ほぼ使えない精度です。
では何を見るのか:測るのが11.6倍早い数字があります

当サイトの式は 必要的中率 = 買い目点数 ÷ 平均配当オッズ です(導出はこちら)。この式が便利なのは、判定を「的中率だけ」で行えるからです。
3連単1点・必要的中率1.08%の買い方を例にします。実績が3.4%だとすると、差は2.32ポイント。この差が本物だと言えるまでに必要なレース数は、244レースです。
| 判定のしかた | 必要なレース数 | 土日4レースなら |
|---|---|---|
| 回収率を±10ポイントで測る | 2,841レース | 14.2年 |
| 必要的中率と実績的中率を比べる | 244レース | 1.2年 |
11.6倍の差があります。
理由は単純で、回収率は「当たるかどうか」と「当たったときいくらか」の2つの不確実性を掛け合わせた数字だからです。必要的中率との比較なら、配当の側は最初に固定してしまう(狙う配当帯を決める)ので、残る不確実性は的中率だけになります。
不確実性を1つ減らすと、答えが出るのが10倍早くなります。これがこのサイトが点数と配当から先に決める理由です。
回収率には3本の線があります

「回収率100%を目指す」は目標として正しいのですが、その前に見る線があります。
| 線 | 数字 | 意味 |
|---|---|---|
| 払戻率 | 券種ごとに70.0〜80.0% | 何も考えずに買い続けた人の回収率 |
| 100% | 100% | 収支がトントンになる線 |
| 測定の幅 | ±84ポイント(40レース) | あなたの数字が振れる範囲 |
券種別の払戻率はJRAが公表しています。

| 券種 | 払戻率 | 何も考えず買った人の回収率 |
|---|---|---|
| 単勝・複勝 | 80.0% | 80.0% |
| 枠連・馬連・ワイド | 77.5% | 77.5% |
| 馬単・3連複 | 75.0% | 75.0% |
| 3連単 | 72.5% | 72.5% |
| WIN5 | 70.0% | 70.0% |
まず超えるべきは払戻率です。 3連複で回収率85%なら、100%には届いていませんが、75%は超えています。でたらめに買っている人より上にいるという意味で、これは情報です。
逆に3連複で回収率70%なら、100%からの距離を考える前に、でたらめより下にいるという事実を先に受け止めることになります。
「回収率を上げる方法」を探す前に
回収率を上げる方法を検索すると、たいてい「点数を絞る」「穴を狙う」「レースを選ぶ」が出てきます。どれも間違いではありません。
ただ、その施策が効いたかどうかを、あなたは回収率では確認できません。 施策を変えた前後で40レースずつ集計しても、±84ポイントのノイズの中に埋もれます。
確認できるのは次の3つです。
- 買い目点数(数えるだけ。誤差ゼロ)
- 狙う配当帯(自分で決める。誤差ゼロ)
- 的中率(数えるだけ。レース数に応じて精度が上がる)
このうち1と2は最初から確定していて、測定が要るのは3だけ(点数の決め方はこちら)。回収率という1つの数字に押し込めず、3つに分けて持つほうが、はるかに速く判断できます。
集計するのは、収支ではありません

年末にやることを入れ替えます。
- 買ったレース数と当たったレース数を数える(→ 実績的中率)
- 平均の買い目点数を出す(→ 必要的中率=点数 ÷ 狙う平均配当)
- 実績的中率 ÷ 必要的中率 を計算する(→ 余裕の倍率)
出てくるのは「余裕は何倍か」という1つの数字です。1.0倍を超えていれば成立、下回っていれば成立していません。
回収率と違って、この数字はあなたが決めた前提(点数・配当帯)の上に乗っているので、意味を取り違えようがありません。「今年は87%でした」より「必要的中率に対して1.4倍の余裕がありました」のほうが、来年の判断材料になります。
1年後に手元にあるもの
来年の年末を考えてみてください。
集計するのは投票履歴の3列だけです。レース数、的中数、点数。そこから出てくるのは、実績的中率と必要的中率と、その比。
比が1.4倍だったとします。あなたはそこで初めて「この買い方は成立している」と言えます。 回収率が87%でも112%でも、判定は変わりません。数字の振れに一喜一憂する対象が、1つ減ります。
そして比が0.8倍だったなら、直す場所も同時に出ています。点数を減らすか、狙う配当帯を上げるか、的中率そのものを上げるか。回収率87%という数字は、この3つのどれを直せばいいのかを教えてくれません。
「今年は悪かった」で終わるか、「点数が15点では多かった」で終わるか。1年後に残る文章が違います。
販売ページの回収率を、同じ目で読む
市販の馬券術も、回収率を前面に出しているものがあります。読み方は自分の数字と同じです。
| 馬券術 | 販売ページ表示 | 当サイトの計算 |
|---|---|---|
| 3連馬券1点主義 | 的中率3.4% / 回収率316.0% | 平均配当92.9倍を逆算 → 必要的中率1.08%・余裕3.16倍 |
| スーパープレデター馬券術 | 勝負レースで137% | 必要的中率33.6%・検証11,378レース |
見るのは回収率そのものではなく、検証レース数とセットです。 3連単1点で回収率316%と書かれていても、40レースの検証なら±84ポイントどころではない幅があります。11,378レースの検証は、そこがまったく違います。
※的中率・回収率・検証レース数はいずれも販売ページの表示で、当サイトが購入して検証した数値ではありません。
よくある質問
Q. まわりの人の回収率はどのくらいですか
券種ごとの払戻率がそのまま平均になります(3連複なら75.0%)。ただし「平均的な人がそこにいる」わけではないので、読み方は回収率の平均の記事にまとめました。
Q. 回収率100%を目指すのは間違いですか
目標としては正しいです。ただ、いま自分が何%なのかを40レースの集計では判定できない、という別の問題があります。
Q. なぜ的中率のほうが早く測れるのですか
回収率は「当たるかどうか」と「当たったらいくらか」の2つが掛かった数字です。狙う配当帯を先に決めれば後者が固定され、残る不確実性が1つになります。
Q. ±84ポイントというのは大げさではないですか
配当が毎回同じという、いちばん楽観的な仮定での数字です。実際の配当はばらつくので、本当の幅はこれより広くなります。
Q. 何レース集計すればいいですか
±10ポイントの精度なら、的中率25%の買い方で300レース、10%で900レース、3.4%で2,841レースです。的中率が低いほど長くかかります。
Q. 短期間で回収率が高かったのは実力ではないのですか
実力かもしれませんし、振れかもしれません。区別するには、実績的中率が必要的中率を超えているかを見るほうが早いです。
Q. 回収率を上げるには何をすればいいですか
点数を減らす・狙う配当帯を上げる・的中率を上げるの3つです。ただし、どれが効いたかは回収率では確認できません。1点あたりの的中率で見てください。
まとめ
- 回収率100%の買い方でも、40レースの集計では15.7〜184.3%に散らばります(的中率3.4%の場合)
- 「去年112%・今年87%」の差は、買い方を何も変えていなくても普通に起きます
- ±10ポイントで測るには2,841レース=14.2年(的中率3.4%)。回収率は個人が測り終われる数字ではありません
- かわりに必要的中率と実績的中率を比べると244レース=1.2年で判定できます(11.6倍早い)
- 回収率の線は3本。まず超えるのは払戻率(3連複75.0%・3連単72.5%)、その先に100%があります
年末に集計するのを、収支からレース数・的中数・平均点数の3つに変えてみてください。出てくる「余裕の倍率」は、回収率と違って来年の判断に使えます。
その倍率を持って、どの馬券術なら線を越えられるのかを確かめてください。市販の18種を、この記事と同じ式で採点してあります。
この記事の計算方法
- 回収率 = 的中率 × 平均配当オッズ ÷ 買い目点数
- 必要的中率 = 買い目点数 ÷ 平均配当オッズ
- 1レースの回収率の標準偏差 = 平均配当オッズ × √(的中率 × (1 − 的中率))
- Nレース平均の標準偏差 = 平均配当オッズ × √(的中率 × (1 − 的中率) ÷ N)
- ±10ポイントの精度に必要なレース数 = (平均配当オッズ × √(的中率 × (1 − 的中率)) ÷ 0.10)²
- 必要的中率との比較に必要なレース数 = 的中率 × (1 − 的中率) ÷ ((実績 − 必要) ÷ 2)²
(標準誤差が差の半分になる点を目安としています) - ばらつきの計算は配当が毎回同じという仮定を置いています(実際の配当はばらつくので、本当の幅はこれより広くなります)。また各レースの的中は独立で、的中率は一定としています
- 「土日4レース」は年200レースとして換算しています
- 払戻率はJRA公表値(2014年6月7日改定。単勝・複勝80.0%、枠連・馬連・ワイド77.5%、馬単・3連複75.0%、3連単72.5%、WIN5 70.0%)
- 控除率はオッズに含まれているため、必要的中率の式から重ねて引いていません(日本の競馬はパリミュチュエル方式)
- 本文の「87%」「112%」は読み方を示すための例示です
- 馬券術の的中率・回収率・検証レース数は各販売ページの表示(2026年9月時点)です。当サイトが購入して検証した数値ではありません
- 本記事は的中や利益を保証するものではありません。勝馬投票券の購入はご自身の判断と責任において行ってください。20歳未満の方は購入できません