MENU

回収率200%の設計でも、置きすぎると100レースで0.009倍になります|競馬のケリー基準を回収率から出す

※本記事はアフィリエイト広告を含みます。

日曜のメインレース。あなたは投票画面の金額欄で、また指を止めます。

先週は3レース続けて外して、軍資金は48,000円に減りました。だから今日は控えめに300円。ところが目の前の買い目は、自分の計算では余裕1.2倍を超えています。控えめにする理由が、負けたという記憶しかありません。

「勝てる買い方なら、あとは続けていれば増えるはずなんだけどな」

増えません。回収率がまったく同じでも、1レースに置く割合しだいで100レース後の手残りは9,406倍変わります。 増える側と減る側の両方に振れます。

目次

先に結論:置く割合は、回収率から割り算1回で出ます

回収率と1点あたりの平均配当だけで置く割合が決まる
回収率と1点あたりの平均配当だけで置く割合が決まる

ケリー基準という考え方があります。式はこれだけです。

置く割合 = (回収率 − 1) ÷ (1点あたりの平均配当オッズ − 1)

1点あたりの平均配当は、平均配当を買い目点数で割った値です。必要的中率の逆数でもあるので、当サイトの記事で使ってきた数字がそのまま入ります。

1点あたりの平均配当オッズ = 平均配当 ÷ 買い目点数 = 1 ÷ 必要的中率

回収率110%・1点あたり平均配当10.0倍なら、(1.10 − 1) ÷ (10.0 − 1) = 1.111%。軍資金50,000円なら1レースに556円です。

思っていたより小さい数字だと思います。ここから先は、なぜこの小ささが正解なのかという話です。

回収率が同じでも、手残りは同じになりません

いちばん大事なところから出します。的中率20.0%・1点あたり平均配当10.0倍の買い方を考えます。回収率は 0.20 × 10.0 = 200%。誰がやっても回収率は200%です。

置く割合だけを変えて、100レース後の資金を並べます。

同じ回収率200%でも、置く割合で手残りが9,406倍違う
同じ回収率200%でも、置く割合で手残りが9,406倍違う
置く割合 1レースの額 100レース後 50,000円が
2.78% 1,390円 9.121倍 456,047円
5.56% 2,780円 34.405倍 1,720,241円
11.11% 5,555円 84.800倍 4,240,022円
16.67% 8,335円 42.068倍 2,103,405円
22.22% 11,110円 6.476倍 323,781円
33.33% 16,665円 0.009倍 451円

いちばん上といちばん下で、9,406倍の差がつきます。回収率はどの行も200%で、1ポイントも違いません。

回収率は比なので、置く額を変えても動きません。 動くのは手元に残る額のほうです。ここは資金管理の記事で書いた「単位は回収率を1ポイントも動かさない」と同じことを、残高の側から見ています。

いちばん増えるのが11.11%で、これが先ほどの式の答えです。(2.00 − 1) ÷ (10.0 − 1) = 11.11%。

置きすぎの境界は、ケリー比率の2倍前後です

表のいちばん下、33.33%で資金が0.009倍になったのが気になったと思います。勝てる買い方なのに、置きすぎると減ります。

境目は、この例では26.06%でした。ここでちょうど増えも減りもしません。ケリー比率11.11%の2.345倍です。

置きすぎて増えなくなる境界は設計ごとに違う
置きすぎて増えなくなる境界は設計ごとに違う
設計(的中率・1点あたり平均配当) 回収率 ケリー比率 増えなくなる割合 比
3.4%・92.94倍 316.0% 2.35% 6.69% 2.847倍
9.2%・20.76倍 191.0% 4.60% 11.10% 2.410倍
20.0%・10.00倍 200.0% 11.11% 26.06% 2.345倍
46.0%・2.98倍 137.0% 18.70% 37.92% 2.028倍
70.0%・2.14倍 150.0% 43.75% 77.12% 1.763倍

「ちょうど2倍」ではありません。 1.763倍から2.847倍まで散ります。当たりやすい設計ほど手前で止まり、高配当を待つ設計ほど余裕があります。

覚えておく形はひとつです。ケリー比率の2倍あたりに、増えも減りもしない線がある。 そこを越えたら、勝てる買い方でも資金は減ります。

回収率100%以下なら、答えは0円です

ここが式のいちばん正直なところです。分子が「回収率 − 1」なので、回収率が100%を割った瞬間にマイナスになります。

回収率100%以下では置く額がマイナス=賭けない
回収率100%以下では置く額がマイナス=賭けない
回収率 ケリー比率 軍資金50,000円で
75.0% −2.78% 0円
90.0% −1.11% 0円
100.0% 0.00% 0円
105.0% +0.56% 278円
110.0% +1.11% 556円
120.0% +2.22% 1,111円

マイナスの割合は「逆に賭ける」という意味ですが、馬券では逆に賭けられません。実質的には0円、つまり買わないという答えです。

3連単をなんとなく買い続けている人の回収率は、券種の払戻率どおりなら72.5%です。そこにケリー基準を当てると −3.06%、答えは0円になります。

これは厳しい結論に見えますが、順序が逆です。置く割合を決める前に、回収率が100%を超える買い方を1つ持っていることが条件なのです。持っていないうちは、いくら置くかを考える段階に来ていません。

同じ回収率110%でも、配当帯で置く額が198倍変わります

回収率が同じでも、狙う配当帯が違えば置ける額は変わります。回収率110%で固定して、1点あたりの平均配当だけを動かします。

1点あたり平均配当 必要的中率 ケリー比率 軍資金50,000円で
1.5倍 66.667% 20.000% 10,000円
3.0倍 33.333% 5.000% 2,500円
10.0倍 10.000% 1.111% 556円
20.0倍 5.000% 0.526% 263円
100.0倍 1.000% 0.101% 51円

上と下で198倍の開きです。同じ「回収率110%」なのに、複勝で拾う設計なら10,000円置けて、3連複で高配当を待つ設計なら51円しか置けません。

理由は当たる頻度です。当たりが遠い設計ほど、あなたが外れ続ける期間は長くなります。 その期間を資金がもたないと、勝てる買い方でも途中で終わります。

馬券の最小単位は100円なので、下2行はそもそも軍資金が足りていないという判定になります。1点100円を置くには、100倍の設計なら軍資金が約99,000円必要です。

「そんなに少なくていいのか」

正直に書くと、この式を最初に使ったとき、あなたは物足りなさを感じるはずです。

余裕1.2倍の買い目を見つけて、軍資金50,000円で、答えが556円。自分の読みが当たっているという確信と、置く額の小ささが釣り合いません。 「もっと行けるはずだ」と思うのが自然です。

その感覚が正しい場面もあります。回収率がもっと高ければ、式はもっと大きい額を返します。 回収率200%なら11.11%=5,555円で、10倍になります。

ただし逆向きにも効きます。あなたが自分の回収率を高く見積もっていた場合、置く額は倍率そのままで大きく間違えます。 回収率を120%と思って実は105%だったなら、置くべき額は1,111円ではなく278円で、4.0倍の置きすぎです。

だから式が返す小ささは、読みへの評価ではありません。測り終わっていないことへの保険です。

販売ページの数字を入れると、軍資金の41%と出ます

その保険がなぜ要るのかを、実例で出します。販売ページの表示をそのまま式に入れてみます。

表示をそのまま入れると非現実的な額が返ってくる
表示をそのまま入れると非現実的な額が返ってくる
商材(販売ページの表示より) 回収率 1点あたり平均配当 ケリー比率
アイ・ウイナー1 184.7% 3.06倍 41.06%
ゴールデンホース 150.0% 2.14倍 43.75%
スーパープレデター プロ版 137.0% 2.98倍 18.70%
南関コンピ・ジェネシス 109.0% 1.98倍 9.18%
ザ・フロントランナー(単勝) 191.0% 20.76倍 4.60%
3連馬券1点主義(3連単) 316.0% 92.94倍 2.35%

上2行は、軍資金50,000円なら1レースに20,528円と21,877円を置けという答えです。2回外せば軍資金は3分の1になります。

この数字が出るのは、式が壊れているからではありません。入力が「真の的中率」と「真の平均配当」だという前提が満たされていないからです。販売ページの表示は販売者による表示であって、あなたが実際に出す成績ではありません。

上の値はすべて表示(2026年9月時点)からの当サイトの計算で、当サイトはこれらの商材を購入していません。この表は「置くべき額」ではなく、「表示をそのまま信じるとどれだけ極端な答えが出るか」を示すために置いています。

だから、ケリー比率は答えではなく上限です

真の回収率は、実は測り終わりません。

回収率が確定するまでに要るレース数
回収率が確定するまでに要るレース数
的中率 ±10ポイントの精度に要るレース数 年200レースなら
3.4% 2,841レース 14.2年
10.0% 900レース 4.5年
25.0% 300レース 1.5年

くわしくは回収率の記事に書きましたが、14年待たないと110%と120%の区別がつかない設計もあります。その間、ケリー比率は1.11%と2.22%のあいだで2.0倍ぶれます。

上限として使うなら、この不確かさは扱えます。「これ以上は置かない」という線として持ち、実際に置くのはその半分以下にする。 置きすぎの境界がケリー比率の2倍前後だったことを思い出すと、半分に落とせば境界までの距離が4倍になります。

ハーフケリーが、実務の既定値です

半分にすると増え方がどれだけ落ちるか。ここが意外な部分です。

半分に落としても増え方は8割残る
半分に落としても増え方は8割残る
置き方 割合 増え方の維持 100レース後
フルケリー 11.11% 100.0% 84.800倍
ハーフケリー 5.56% 79.6% 34.351倍
クォーターケリー 2.78% 49.8% 9.108倍
8分の1 1.39% 27.9% 3.444倍

置く額を半分にしても、増え方は79.6%残ります。 あなたが手放すのは20.4%だけです。

かわりに得られるものが大きい。1レースで動く額が半分になり、置きすぎの境界までの距離が2.345倍から4.690倍に広がります。回収率の見積もりが2倍ずれていても、まだ増える側にいられるということです。

当サイトが記事の中で置く額を出すときは、このハーフを既定値にしています。フルを勧めない理由は、入力の精度がフルに耐えないからです。

単位の式とは、どうつながるか

資金管理の記事では、こう書きました。

1点あたりの単位 = 軍資金 ÷ (耐えるレース数 × 1レースの点数)

こちらは「何レース耐えたいか」から単位を決める式で、金額を固定します。ケリーは「いま持っている軍資金の何%か」で決める式なので、勝てば置く額が増え、負ければ減ります。

2つの式は同じものを別の入口から決めている
2つの式は同じものを別の入口から決めている

つなぐと、こうなります。ケリー比率の逆数が、耐えられるレース数にあたります。

ケリー比率 1 ÷ 比率 意味
1.11% 90.1 軍資金は最初の単位で90レース分
2.35% 42.6 同 42レース分
9.18% 10.9 同 11レース分
41.06% 2.4 同 2レース分

いちばん下の行を見てください。耐えられるのが2レース分しかないので、この額は現実には置けません。単位の式で見ても同じ結論になります。

どちらの式を使っても、結論は「思っているより小さい額」で一致します。 入口が違うだけです。

来月の第1レースで

来月の第1レースを、先に見ておきます。

投票画面を開いて、金額欄で止まらない。先週勝ったか負けたかは関係なく、いまの軍資金に割合を掛けるだけで額が決まる。48,000円 × 0.56% = 269円、100円単位に丸めて200円。それを打ち込んで、次のレースへ進みます。

決めるのに使った時間はゼロです。 迷いは、決め方を持っていないときにだけ発生します。

この決め方を持たないまま来月も買い続けると、どうなるか。勝った翌週に増やし、負けた翌週に減らす、が続きます。増やすのは調子がいいときで、そういうときほど置きすぎの境界に近づきます。 減らすのは連敗の後で、そこは本来いちばん置ける場面です。順番が逆になります。

正直に書いておくと、この式で決めた額が正しい保証はありません。入力である回収率を、あなたはまだ測り終わっていないからです。 それでも、記憶で決めるよりは根拠があります。まず回収率を測るところから始める場合は、収支の記録の記事に4列の作り方を書きました。

そして最初に戻ります。回収率が100%を超えていなければ、この式の答えは0円です。 置く割合を工夫しても、100%以下の買い方がプラスに変わることはありません。

よくある質問

Q. 何点買うときはどう入れますか
1点あたりの平均配当(=平均配当 ÷ 点数)を使ってください。10点買いで平均配当100倍なら、10.0倍として入れます。

Q. 100円単位に丸めるときは切り上げますか
切り下げてください。ケリー比率は上限として使う値なので、超える側に丸めない方が安全です。

Q. 軍資金は毎レース計算し直しますか
理屈のうえでは毎回です。実務では週の初めに1回で足ります。1レースで動くのは軍資金の数%なので、週の途中で割合を計算し直しても額はほとんど変わりません。

Q. 複数のレースを同時に買うときは
同時に買う本数で割ってください。3レース同時なら、1レースあたりは3分の1です。同じレースの複数券種も同様です。

Q. 軍資金が足りなくて100円も置けないときは
配当帯を下げるか、軍資金が貯まるまで待つことになります。最小単位を下回った状態で買い続けると、比率の設計が成立しません。

Q. ケリー基準を使えば必ず増えますか
増えません。回収率が100%を超えているという前提が満たされていて、かつレース数を十分に重ねた場合の話です。前提が外れていれば、どの割合でも減ります。

まとめ

  • 置く割合 = (回収率 − 1) ÷ (1点あたりの平均配当オッズ − 1)。 割り算1回です
  • 1点あたりの平均配当 = 平均配当 ÷ 点数 = 1 ÷ 必要的中率。 当サイトの数字がそのまま入ります
  • 回収率が同じでも、置く割合で100レース後の手残りが9,406倍違います(回収率200%の設計で84.800倍と0.009倍)
  • 置きすぎの境界はケリー比率の2倍前後(1.763〜2.847倍)。越えると勝てる買い方でも資金は減ります
  • 回収率100%以下なら答えは0円。 3連単をなんとなく買う人の72.5%では −3.06%です
  • 同じ回収率110%でも、1点あたり平均配当1.5倍と100倍で置ける額は198倍違います
  • 販売ページの表示をそのまま入れると軍資金の41%という答えが出ます。入力は表示ではなく、あなたが測った値です
  • ハーフケリーなら増え方は79.6%残り、境界までの距離は2倍になります。当サイトの既定値はこちらです
  • ケリー比率の逆数が、耐えられるレース数にあたります。単位の式と結論は一致します

今週は金額欄で止まらずに済むはずです。軍資金 × 割合。それだけです。

あなたが持っている買い方の回収率がいくつか、まだ数字で言えない場合は、先にそこからです。18種の必要的中率と余裕を1枚の表に並べてあるので、自分の設計と近い行を探してみてください。

馬券術18種を必要的中率で採点した表を見る


この記事の計算方法

  • 置く割合(ケリー比率)= (回収率 − 1) ÷ (1点あたりの平均配当オッズ − 1)。教科書の形(的中率 −(1−的中率)÷純オッズ)を、当サイトの回収率と平均配当で書き直したものです。本文の8例で両方の式が一致することを確認しています
  • 1点あたりの平均配当オッズ = 平均配当オッズ ÷ 買い目点数 = 1 ÷ 必要的中率
  • 回収率 = 的中率 × 平均配当オッズ ÷ 買い目点数(当サイトの基本式)
  • 「増えなくなる割合」は、1レースあたりの対数成長率がゼロに戻る割合です。成長率 = 的中率×log(1+割合×純オッズ) + (1−的中率)×log(1−割合) を数値的に解いています。ケリー比率のちょうど2倍ではありません(本文の例で1.763〜2.847倍)
  • 「100レース後」は対数成長率を100倍して指数に戻した理論値です。実際には的中の並び順で結果が変わります。特定の買い方の成績ではなく、置く割合の効き方を示すための例示です
  • 配当が毎回同じという仮定を置いています。実際の配当はばらつくので、この仮定より結果は悪くなる方向に働きます
  • ±10ポイントの精度に要るレース数は、Nレース平均の標準偏差 = 平均配当 × √(的中率×(1−的中率) ÷ N) から出した値です
  • 払戻率はJRA公表値(2014年6月7日改定。単勝・複勝80.0%、枠連・馬連・ワイド77.5%、馬単・3連複75.0%、3連単72.5%)
  • 本文に出てくる商材の的中率・回収率は、各販売ページの表示(2026年9月時点)です。 販売者による表示であり、当サイトが購入して検証した数値ではありません。ケリー比率はその表示からの当サイトの計算で、置くべき額として示したものではありません
  • 販売ページの表示は変わることがあります。記事の内容と違っていたら、販売ページのほうが正です
  • 軍資金は「なくなっても生活に影響しない額」を先に決めてください。 この式は、その額の中で割合を決めるためのものです
  • 本記事は的中や利益を保証するものではありません。勝馬投票券の購入はご自身の判断と責任において行ってください。20歳未満の方は購入できません
  • のめり込みにお困りの方は、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会などの相談窓口をご利用ください

同じテーマの記事

馬券術を採点表で見る

当たっているのに増えないのは、点数で割っていないからです|馬券術18種を必要的中率で採点【2026年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次