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キャリーオーバーの入口は2つあります|的中者ゼロと、6億円を超えた分

※本記事はアフィリエイト広告を含みます。

日曜の朝、あなたはWIN5の画面を開きます。

いつもは100円。5レースを1通りずつ選んで、当たらないまま夕方を迎えます。それが毎週のことです。

ただ、繰越が積み上がっている週は違います。「キャリーオーバーがあるときは期待値が高い」と聞いたので、そういう週だけ点数を増やして2,000円ほど買います。

先月もそうしました。4レース目までは的中していて、最後の1頭が3着。

「あと1つだったのに」

そのときふと思いました。自分は「期待値が高い」と言われて増やしているけれど、その期待値を計算したことがない。

この記事で出すのは、キャリーオーバーがどこから来るのかと、それが計算できるものなのかどうかです。

先に断っておくと、あなたが増やしている判断そのものが間違っているという話ではありません。方向としては合っています。 問題は、合っている方向にどれだけ進んでいいかを誰も言っていないことのほうです。

目次

先に結論:JRAは入口を2つ挙げている

まずJRAの表示を引きます。競馬用語辞典の「WIN5」の項です。

的中者がいない場合及び最高払戻金を超える金額はキャリーオーバーとなるが、キャリーオーバーの有無に関わらず、最高払戻金は100円につき6億円。
(JRA競馬用語辞典「WIN5」・2026年9月時点)

キャリーオーバーになる条件が、2つ書かれています。

繰越の入口は2つある
繰越の入口は2つある
入口 どういう状態か そのとき起きること
的中者がいない 5レース全部を当てた人がゼロ 払戻が発生せず、全額が次回へ
最高払戻金を超えた 的中者が少なく、1口あたりが6億円超 6億円までを払い、超えた分が次回へ

2つ目を知らない人が多いところです。 当たった人がいても、その配当が6億円を超えていれば、超過分は繰り越されます。

つまり繰越は「誰も当てなかった週」だけに起きるわけではありません。

あなたが画面で見ている繰越額も、この2つが混ざった結果です。どちらの理由で積み上がったのかは、金額を見ただけでは分かりません。

区別する意味はあります。的中者ゼロが続いた繰越なら、その間の売上がまるごと乗っています。上限超過の繰越なら、乗っているのは6億円を超えた分だけです。同じ金額でも、背景にある売上の大きさが違います。

上限6億円は、100円が600万倍になる線

金額を倍率に直します。100円につき6億円なら、600万倍です。

当サイトはWIN5の理論平均配当を、5レースの頭数の積×払戻率70.0%として出しました。18頭立てが5つなら1,322,697.6倍です。

600万倍は理論平均の4.54倍
600万倍は理論平均の4.54倍

上限は理論平均配当の4.54倍の位置にあります。逆に言えば、理論平均は上限の22.04%のところです。

上限と理論平均の位置関係
上限と理論平均の位置関係
倍率 100円あたり
18頭×5の理論平均配当 1,322,697.6倍 132,269,760円
最高払戻金(上限) 6,000,000倍 600,000,000円
上限は理論平均の 4.54倍 ―

平均的な決着なら、上限にはまったく届きません。 上限に当たるのは、的中票数が極端に少なかったときだけです。

どれくらい少なければ当たるのかは、その週の売上が分からないと出せません。 当サイトは売上を集計していないので、この数字は出しません。

上限があると、払戻率70.0%は1回では成立しない

ここがこの記事の芯です。

払戻率70.0%というのは、集まった金の70.0%を的中者に配るという意味です。ところが上限があると、配れない回が出てきます。

6億円を超える分は払われず、次回へ回る。その回だけを見れば、払戻率は70.0%を下回ります。

逆に、繰越を受け取った回はどうなるか。その回の売上の70.0%に加えて、前回までの繰越が乗ります。 つまり70.0%を超えます。

回ごとに上下する
回ごとに上下する
その回の状態 その回の払戻率
繰越なし・上限にも当たらない 70.0%ちょうど
上限を超えた 70.0%より低い(超過分が次回へ)
的中者がゼロ 0%(全額が次回へ)
繰越を受け取った 70.0%より高い

70.0%は、回をまたいでならしたときの値です。1回ごとに見れば、上の4通りのどれかになります。

回収率は個人が測り終われない数字だと書いてきましたが、WIN5では制度の側にも回ごとのぶれが組み込まれていることになります。

これは測る側にとって面倒な性質です。他の券種なら、外れが続いても「自分の運と腕」だけを疑えばいい。WIN5は、そこに「その回が繰越を出した側か受け取った側か」という要素が加わります。

あなたが100回買ったとして、その100回のなかに繰越を出した回と受け取った回がどれだけ混ざっていたかで、手元の数字は変わります。同じ腕でも、回り合わせで上下する幅が他より大きいということです。

長期でならせば70.0%に寄っていきますが、その「長期」は他の券種より長くなります。

的中者ゼロでも、特払いは起きない

ここで1つ、他の券種との違いを確認しておきます。

他の券種では、的中者がゼロなら特払いになります。買った全員に100円につき70円か80円が返る仕組みです。

WIN5では、的中者ゼロの回に返ってくるものはありません。 全額が次回へ繰り越されます。

同じ「的中者ゼロ」で扱いが逆
同じ「的中者ゼロ」で扱いが逆
的中者ゼロのとき 買った人の回収率
単勝・馬連など 特払い(100円につき70円か80円) 70.0〜80.0%
WIN5 全額が次回へ繰越 0%

同じ「誰も当てなかった」でも、扱いが正反対です。 他の券種では払戻率そのものが返り、WIN5では1円も返りません。

そのかわり、繰り越された分は次回の的中者が受け取ります。消えるわけではなく、移動しているだけです。

移動先はあなたかもしれませんし、そうでないかもしれません。確実なのは、繰越を出した回に買っていた人から、受け取った回に買っていた人へ動くことだけです。

毎週欠かさず買っている人は、出す側にも受け取る側にも入ります。たまにしか買わない人は、受け取る側だけに入る確率が下がります。 繰越が積み上がった週だけ買う戦略は、この移動の受け取り側を狙う形になっています。

対象レースの頭数は、毎回違う

もう1つ、JRAの表示から読めることがあります。

対象となるレースは、原則として当日開催しているすべての競馬場の「各競馬場メインレースのうち発走予定時刻の最も遅いレース」を「WIN5」最後の対象レースとし、そのレースから遡っての5レースとなる。
(JRA競馬用語辞典「WIN5」・2026年9月時点)

各競馬場のメインレースが対象なので、頭数は毎回違います。 そして理論平均配当は頭数の積で決まるので、毎回変わります。

5例だけで6.69倍の幅
5例だけで6.69倍の幅
5レースの頭数 組み合わせ 理論平均配当 上限までの倍率
18×18×18×18×18 1,889,568通り 1,322,697.6倍 4.54倍
16×16×14×18×18 1,161,216通り 812,851.2倍 7.38倍
14×14×16×16×18 903,168通り 632,217.6倍 9.49倍
12×14×14×16×16 602,112通り 421,478.4倍 14.24倍
10×12×12×14×14 282,240通り 197,568.0倍 30.37倍

※頭数の組み合わせは当サイトが置いた仮の例です

この5例だけで、理論平均配当は6.69倍の幅があります。少頭数の週なら20万倍前後、フルゲートが並べば130万倍超。

頭数が決まれば合格ラインが決まるというのは他の券種と同じですが、WIN5は5レース分が掛け算になるので、振れ方が大きくなります。

全部買っても、上限には当たらない

極端な例で位置を確かめます。18頭立てが5つなら、全通りは1,889,568点です。

全通りでも上限の3分の1
全通りでも上限の3分の1

100円ずつ買えば投資は188,956,800円。理論上の払戻は132,269,760円で、回収率は70.0%。払戻率どおりです。

そして1,889,568点は、上限の600万倍に届きません。 全部買って必ず当てても、受け取る額が6億円を超えるには、それだけの売上と、他に的中者がほとんどいない状況が要ります。

上限は、普通の買い方をしている人には関係のない線です。関係するのは、繰越が積み上がった状態で的中者が極端に少なかった回だけになります。

あなたが毎週100円で買っている限り、この線を意識する場面はまず来ません。知っておく意味があるのは、上限が「あなたの取り分の天井」ではなく「繰越を生む装置」だからです。

天井として読むと「6億円まで狙える」と見えます。装置として読むと「超えた分は次の週の人へ回る」と見えます。同じ1つの数字が、どちらの意味も持っています。

「繰越の週は期待値が高い」は、計算できるのか

あなたが増やす根拠にしている話に戻ります。

理屈としては正しい方向です。 繰越が乗る回は、その回の売上70.0%に加えて前回までの分が配られます。買う側から見れば、払い込んだ額に対して配られる原資が増えます。

ただし、どれだけ増えるかを出すには2つの数字が要ります。

出していない数値
出していない数値
必要な数字 当サイトの扱い
繰越額 JRAが公表しますが、当サイトは集計していません
その週の売上 集計していないので出しません
上限に当たる的中票数 売上次第なので出せません
「繰越の週の期待値は◯%」 上の2つが無いと計算できません

繰越が乗っても、その週の売上が増えていれば1口あたりの上積みは薄まります。 繰越額だけを見て「期待値が高い」と決めることはできません。

当サイトが言えるのは、方向だけです。繰越がある回は原資が増える。どれだけ増えるかは、あなたがその週の繰越額と売上を見て自分で割るしかありません。

割り方だけ書いておきます。繰越額 ÷ その週の売上 が、上乗せされる割合です。これを70.0%に足したものが、その回の実質的な払戻率になります。

繰越が10億円でも、その週の売上が100億円なら上乗せは10ポイント。売上が20億円なら50ポイントです。繰越額そのものではなく、売上に対する比が効きます。

そして繰越が話題になる週ほど売上も伸びます。分子と分母が同じ方向に動くので、上乗せが思ったほど大きくならないことは起こり得ます。

買い足す前に、確かめられること

方向は分かるが、量は分からない
方向は分かるが、量は分からない

増やすかどうかを決める前に、分かっていることと分かっていないことを分けてください。

分かっているのは、上限6億円は普通の買い方には効かないことと、繰越は原資を増やす方向に効くことです。

分かっていないのは、その増分が点数を増やすコストに見合うかです。点数を20倍にすれば投資も20倍で、1レースあたりの投資が増えれば資金の寿命は反比例で縮みます。

繰越があるから買い足す、という判断は、増分を計算してから成立します。 方向が合っていることと、量が足りていることは別です。

券種の選び方はリフトで決まるというのが当サイトの立場で、WIN5は1レースあたりのリフトが最も小さい券種でした。繰越はその計算を変えません。 変えるのは配られる原資だけです。

2011年に始まった、比較的新しい賭式

JRAの表示によれば、WIN5は2011年に発売が開始されたとされています。インターネット投票限定という点も同じ出典です。

他の賭式に比べて歴史が浅く、払戻率70.0%という数字も、他の券種とは別の設計思想で置かれていると読めます。9つの賭式のなかで最も低い払戻率で、そのかわり最高払戻金が6億円まで用意されています。

当サイトは設計の意図までは分かりません。分かるのは、低い払戻率と高い上限が同じ券種に同居しているという事実だけです。

販売ページの「WIN5対応」も、同じ枠で読める

馬券術のなかにはWIN5を扱うものもあります。採点に必要なのは、他の券種と同じ2つです。何レース中何レース的中したかと、点数。

WIN5は5レースが1単位なので、「的中率」の分母が1レースではなく1回になります。ここを取り違えると、必要的中率の比較ができません。

コンピの極意は単勝・複勝の型で、WIN5は扱いません(1,800円。販売ページには単勝111%・複勝100%という販売者側の表示があります。2026年9月時点)。1レース単位で測れるぶん、判定は早い側になります。

3連馬券1点主義も3連系の型です(8,800円)。5レース分の頭数を掛け合わせるWIN5とは、必要な精度の桁が違います。

18種を1枚に並べた結果はハブ記事にあります。

繰越の週に見る3ステップ

方向と量を分ける
方向と量を分ける

3番目を飛ばさないでください。 繰越額だけでは、1口あたりいくら増えるかが決まりません。

3つとも見たうえで上乗せが十分だと判断したなら、そこから先は点数の話になります。上乗せぶんの原資に対して、何点まで足していいかは他の券種と同じ計算です。

記録に足すのは1列だけです。その週の繰越額と売上。 数回ぶん貯まれば、上乗せがどれくらいの幅で動くのかが自分の手元で見えてきます。


この記事の計算方法

  • キャリーオーバーの条件と最高払戻金は、JRA競馬用語辞典「WIN5」(2026年9月時点)の表示をそのまま引用しました。「的中者がいない場合及び最高払戻金を超える金額はキャリーオーバーとなるが、キャリーオーバーの有無に関わらず、最高払戻金は100円につき6億円」。
  • 対象レースの決まり方も同じ出典です。「原則として当日開催しているすべての競馬場の『各競馬場メインレースのうち発走予定時刻の最も遅いレース』を最後の対象レースとし、そのレースから遡っての5レース」。インターネット投票限定で、2011年に発売が開始されたとされています。
  • 600万倍という倍率は当サイトの計算です。100円につき6億円を倍率に直しました。
  • 理論平均配当 = 5レースの頭数の積 × 払戻率70.0%。18頭×5なら1,889,568通り×0.70=1,322,697.6倍。上限600万倍はその4.54倍、理論平均は上限の22.04%です。
  • 表の頭数の組み合わせ5例は、当サイトが置いた仮の値です。実際の対象レースの頭数は開催ごとに違います。
  • 繰越の週の期待値は出していません。 繰越額とその週の売上が要りますが、当サイトは売上を集計していないためです。上限に当たる的中票数も同じ理由で出していません。
  • 他の券種の特払いについては別記事にまとめました。WIN5は的中者ゼロでも特払いにならず、全額が繰り越されます。
  • JRA払戻率(2014年6月7日改定):単勝・複勝80.0% / 枠連・馬連・ワイド77.5% / 馬単・3連複75.0% / 3連単72.5% / WIN5 70.0%。
  • 控除率は必要的中率の式に重ねて引いていません。 パリミュチュエル方式なので、控除はオッズの中にすでに入っています。
  • 販売ページの数値は販売者による表示(2026年9月時点)で、当サイトの計算と書き分けています。当サイトはこれらの商材を購入していません。

まとめ

  • キャリーオーバーの入口は2つ。 的中者ゼロのときと、最高払戻金6億円を超えた分です
  • 最高払戻金は100円につき6億円=600万倍。 キャリーオーバーの有無に関わらず、この線は動きません
  • 600万倍は18頭×5の理論平均配当1,322,697.6倍の4.54倍。平均的な決着なら届きません
  • 上限があるので、払戻率70.0%は1回では成立しません。 超えた回は下回り、繰越を受け取る回は上回ります
  • WIN5は的中者ゼロでも特払いになりません。 他の券種なら70〜80円返るところが、0円です
  • 対象レースは各競馬場のメインなので頭数が毎回違い、理論平均配当は5例だけで6.69倍動きます
  • 18頭×5の全通り1,889,568点を買っても、上限600万倍には当たりません
  • 繰越の週の期待値は、繰越額と売上の両方が無いと出せません

あなたが次の繰越の週にやることは、繰越額とその週の売上を両方見ることです。 片方だけでは、1口あたりいくら増えるかが決まりません。

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