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夏の小倉で、7頭立てのレースを見つけました。
出走表を見て、あなたは思いました。「7頭なら複勝は堅い」。 人気サイドの1頭に複勝を1点。
来ました。2着でゴールです。受け取った払戻は170円。
「当たったのに、こんなものか」
その翌週、今度は8頭立てで同じように買いました。狙った馬は3着。画面を見ると、こちらも的中になっています。
先週の7頭立てで3着に入っていたら、どうなっていたのか。 そこで初めて、的中の範囲が頭数で違うのではないかと気づきました。
そのとおりです。この記事で出すのは、頭数によって複勝の的中枠が変わることと、そのせいで頭数が増えたのに平均配当が下がる区間があるという話です。
夏場は小回りの競馬場で少頭数が増えます。あなたが「堅そうだ」と感じて手を出すのは、たいていその時期です。知らずに買っていた条件が、実は毎年決まった季節に集中していたことになります。
先に結論:5〜7頭は2着まで、8頭から3着まで
JRAの表示を引きます。『馬券のルール』の発売の項に、出走予定馬の頭数ごとの発売可否が載っています。

| 出走予定馬の頭数 | 単勝 | 複勝 | 枠連 | 馬連・ワイド・馬単 | 3連複・3連単 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2頭 | 発売 | 発売なし | 発売なし | 発売なし | 発売なし |
| 3頭 | 発売 | 発売なし | 発売なし | 馬連・馬単のみ | 発売なし |
| 4頭 | 発売 | 発売なし | 発売なし | 発売 | 発売 |
| 5〜7頭 | 発売 | 発売(2着まで払戻) | 発売なし | 発売 | 発売 |
| 8頭 | 発売 | 発売(3着まで払戻) | 発売なし | 発売 | 発売 |
| 9頭以上 | 発売 | 発売(3着まで払戻) | 発売 | 発売 | 発売 |
※JRA『馬券のルール』(2026年9月時点)の表示をもとに当サイトが整理しました
5〜7頭では、複勝は2着までしか払い戻されません。 あなたが7頭立てで狙った馬が3着だったら、当たりではなく外れとして処理されます。同じ馬券でも、8頭立てなら的中でした。
そして4頭立てでは複勝そのものが売られません。 2頭立てで買えるのは単勝だけです。
4頭立てで複勝が無いのは、理屈で考えると分かります。4頭のうち3頭が的中になるなら、外れるのは1頭だけ。 賭けとして成り立ちません。3着まで払うには、それなりの頭数が要ります。
同じ理由で、5〜7頭では的中枠を2に絞っています。 7頭で3着まで払えば、10頭に4頭以上が当たる感覚になります。的中枠は「外れる余地」を残すために決まっていると読めます。
買える券種は、1種から8種まで変わる
同じ表を券種の数で見ます。

| 頭数 | 買える券種 | 種類数 |
|---|---|---|
| 2頭 | 単勝 | 1種 |
| 3頭 | 単勝・馬連・馬単 | 3種 |
| 4頭 | 単勝・馬連・ワイド・馬単・3連複・3連単 | 6種 |
| 5〜8頭 | +複勝 | 7種 |
| 9頭以上 | +枠連 | 8種 |
券種はリフトで決まると書いてきましたが、そもそも選択肢に並ばない券種があるのが少頭数です。
枠連は9頭以上が原則です。ただしJRAの表示によれば、8頭以下でも「同じ枠に2頭以上」が出走するときは発売されます。
的中枠が2から3に増えると、配当は下がる
ここが本題です。複勝の理論平均配当は、こう出します。
複勝の理論平均配当 = 頭数 × 払戻率80.0% ÷ 的中枠数

分母の「的中枠数」が、7頭までは2、8頭からは3になります。

| 7頭立て | 8頭立て | 倍率 | |
|---|---|---|---|
| 的中枠 | 2着まで | 3着まで | ― |
| 理論平均配当 | 2.800倍 | 2.133倍 | 0.762倍 |
| 必要的中率(1点) | 35.71% | 46.88% | 1.313倍 |
頭数が1頭増えたのに、平均配当は0.762倍に下がります。
理由は単純です。頭数が7→8で分子は8/7=1.143倍になりますが、分母の的中枠が2→3で1.5倍になる。分母の伸びが勝ちます。
あなたが7頭立てで受け取った170円が「思ったより低い」と感じたのは、実は逆でした。7頭立ては、複勝の平均配当がいちばん高くなる側です。安く感じたのは、狙った馬が人気サイドだったからで、頭数のせいではありません。
頭数別の複勝を、1枚に並べる
5頭から18頭まで通しで見ます。

| 頭数 | 的中枠 | 理論平均配当 | でたらめの的中率 | 必要的中率 | 比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5頭 | 2着まで | 2.000倍 | 40.00% | 50.00% | 1.2500 |
| 6頭 | 2着まで | 2.400倍 | 33.33% | 41.67% | 1.2500 |
| 7頭 | 2着まで | 2.800倍 | 28.57% | 35.71% | 1.2500 |
| 8頭 | 3着まで | 2.133倍 | 37.50% | 46.88% | 1.2500 |
| 9頭 | 3着まで | 2.400倍 | 33.33% | 41.67% | 1.2500 |
| 12頭 | 3着まで | 3.200倍 | 25.00% | 31.25% | 1.2500 |
| 18頭 | 3着まで | 4.800倍 | 16.67% | 20.83% | 1.2500 |
7頭の2.800倍を超えるには、11頭立て(2.933倍)まで待つ必要があります。 8頭から10頭までは、7頭立てより平均配当が低い区間です。
そして9頭立ての2.400倍は、6頭立てとまったく同じです。的中枠が2か3かで、頭数が1.5倍違っても同じ値に着地します。
この一致は偶然ではありません。6÷2も9÷3も3で、そこに80.0%を掛けているだけです。「頭数 ÷ 的中枠」が同じなら、理論平均配当も同じになります。
同じ見方で並べ直すと、10頭立て(10÷3=3.33)は7頭立て(7÷2=3.5)よりまだ低い。7頭立てに並ぶのは、頭数÷的中枠が3.5を超える11頭立て以降です。11÷3=3.67で、ここで初めて上回ります。
つまり7頭立ての複勝は、10頭立てより平均配当が高いという位置にあります。「少頭数だから安いはず」という感覚とは逆です。
比は、10通りの頭数すべてで1.2500
いちばん右の列を見てください。どの頭数でも1.2500です。

これは複勝の払戻率80.0%の逆数です。必要的中率がでたらめの的中率の何倍かという値は、頭数にも的中枠にも影響されません。
当サイトが繰り返してきた形がここにも出ています。絶対値は跳ねるのに、要求される精度の倍率は動かない。
つまり「7頭立ては当てやすい」も「8頭立ては当てにくい」も、腕の要求という意味では正しくありません。 変わるのは、当たったときに返る額と、必要な的中率の絶対値だけです。
少頭数が有利とも不利とも、この計算からは出てきません。 出てくるのは、的中枠と配当の対応関係だけです。
有利不利を決めるとしたら、別の軸になります。少頭数は買える券種が減るので、あなたの得意な券種が消える可能性があります。 枠連で買っている人は9頭未満だと原則買えませんし、複勝の人は4頭立てで手が出ません。
逆に、当たりやすさの見当がつけやすいとは言えます。7頭立てなら2着以内に入る馬は2頭で、18頭立ての3頭より母集団が小さい。ただしその読みやすさは配当にも織り込まれているので、比が1.2500で動かないという結論に戻ります。
読みやすさが得になるのは、市場より正確に読めているときだけです。ここは頭数と関係ありません。
5〜7頭で複勝を買うときに効くこと
実務では2つ効きます。
1つ目は、3着が外れになること。 8頭立ての感覚のまま7頭立てを買うと、複勝は堅いという前提が1段きつくなります。的中枠が3分の2に減るので、同じ馬でも当たる確率が下がります。
2つ目は、そのぶん配当が高いこと。 2.800倍という理論平均は、12頭立て相当です。複勝オッズには幅があるので実際の値は決着によって動きますが、平均の位置としては高い側にあります。
この2つは同じことの裏表です。当たりにくくなったぶんだけ、返る額が増えている。 比が1.2500で動かないのは、そういう意味です。
あなたが7頭立てで感じた「思ったより安い」は、的中枠が2だと知らずに3のつもりでいたことから来ています。3着まで当たる前提なら、2.800倍という平均は確かに高すぎる。
前提を直せば、170円という結果の見え方も変わります。平均2.800倍の券種で170円ということは、狙ったのが相当な人気馬だったという意味です。頭数ではなく、選んだ馬の位置が配当を決めていました。
発売開始後に頭数が減っても、条件は変わらない
もう1つ、JRAの表示から重要な点があります。
発売開始後に出走頭数が減った場合も、発売開始時の内容で発売・払戻が行われます。
つまり8頭立てとして発売が始まったレースは、1頭が出走取消で7頭になっても、複勝は3着まで払い戻されます。 逆に7頭で始まれば、途中で頭数が変わっても2着までです。

| 項目 | JRAの表示 |
|---|---|
| 頭数が減ったとき | 発売開始時の内容で発売・払戻 |
| 発売締切 | 事業所では発走時刻の2分前 |
| 払戻期間 | 的中券・返還券とも60日間 |
見るべきは出馬表の頭数ではなく、発売開始時の頭数ということになります。当日の出走取消は、的中枠を動かしません。
これは有利にも不利にも働きます。8頭で発売が始まって7頭になれば、3着まで当たる条件のまま頭数だけ減るので、あなたにとっては条件が緩みます。逆に7頭で始まって6頭になれば、2着までのまま頭数が減ります。
どちらも珍しい状況ですが、「いま画面に出ている頭数」で的中枠を判断すると間違えるという点は覚えておく価値があります。
なお、出走取消があった馬の券は返還されます。単勝・複勝ならその馬番の券、連系ならその馬番を含む組み合わせの券がJRAの表示どおり返還の対象です。ただし枠連は組み合わせの都合で返還できない場合があると明記されています。
この計算が言っていないこと

| よくある読み方 | 当サイトの扱い |
|---|---|
| 「少頭数は有利」 | 有利とも不利とも出していません。比は1.2500で不変です |
| 「7頭立ては必ず2.800倍つく」 | 理論平均です。実際は人気で大きくばらつきます |
| 「8頭立ては避けるべき」 | 平均配当が低いだけで、要求される精度は同じです |
| 「頭数が減れば的中枠も減る」 | 発売開始時の内容のままです |
理論平均配当は組み合わせ数×払戻率で出した目安で、実際の配当は人気によって大きく動きます。人気馬の複勝なら理論平均を大きく下回りますし、人気薄なら上回ります。
あなたが受け取った170円も、7頭立ての平均2.800倍に対して0.607倍の位置でした。平均より低いのは、その馬が平均より人気だったからです。頭数の話と人気の話は、最後まで分けて読んでください。
出馬表を見る順番が1つ増える

これまで出馬表で最初に見るのは出走頭数だと書いてきました。複勝を買う場合は、その頭数から的中枠まで読むところまでが1組になります。
7頭以下なら2着まで。8頭以上なら3着まで。この一段があるかないかで、同じ馬の同じ買い目でも当たり外れが変わります。 判定そのものが入れ替わるので、後から記録を見返したときの解釈もずれます。
慣れれば数秒です。頭数を見る → 的中枠を決める → 理論平均配当を出す。 掛け算と割り算が1回ずつしかありません。
もっと簡単にするなら、「頭数 ÷ 的中枠」だけを見るという手もあります。この値が大きいほど平均配当は高くなります。7頭なら3.5、9頭なら3.0、12頭なら4.0。80.0%を掛ける手間すら省けます。
あなたが複数のレースを比べるときは、この1つの数字で並べ替えられます。同じ複勝でも、どのレースが配当の出やすい側かが一目で分かります。
ただしこれは平均の話で、そのレースの人気構成は入っていません。並べ替えたあとに、狙う馬がその中でどの位置にいるかを見るという順番になります。
販売ページの「複勝◯%」も、頭数で読み直す
馬券術の販売ページに複勝の的中率が書かれている場合、その数字が何頭立てのレースで測られたかは、たいてい書かれていません。
5〜7頭立てが多く含まれていれば的中率は低めに出ますし、多頭数ばかりなら高めに出ます。同じ腕でも、対象レースの頭数構成で表示の数字が動きます。
コンピの極意は単勝・複勝を扱う1,800円の教材で、販売ページにはコンピ90で複勝67.9%という販売者側の表示があります(2026年9月時点)。この67.9%がどの頭数帯で測られたかは、当サイトには分かりません。
3連馬券1点主義(8,800円)は3連系なので、4頭立て以上なら発売されます。 少頭数でも券種が消えない側です。
ただし3連系は少頭数で組み合わせが激減します。4頭立ての3連複は4通りしかなく、理論平均配当は3.0倍です。18頭立ての612.0倍とは別の競技になります。
手法が「使える」ことと、その頭数で成立することは別です。券種が発売されているかどうかと、そこで採算が合うかどうかを分けて見てください。
採点できた7種を含む一覧は、ハブ記事に置いてあります。
複勝を買う前の3ステップ

1番目で出馬表の現在の頭数を使わないでください。 使うのは発売開始時の頭数です。
3番目まで進めば、そのレースの複勝が平均どのあたりの配当になるかが出ます。狙っている馬のオッズがその値より上か下かで、人気サイドか穴かも判断できます。
記録に足すのは1列だけです。そのレースの頭数。 後から見返したときに、2着までのレースだったか3着までだったかが分かります。的中率を集計するとき、この区別がないと数字が混ざります。
この記事の計算方法
- 頭数別の発売可否は、JRA『馬券のルール』(2026年9月時点)の表示をもとに当サイトが整理しました。2頭は単勝のみ、3頭は単勝・馬連・馬単、4頭から3連系まで発売、5〜7頭は複勝が2着まで払戻、8頭から3着まで、枠連は9頭以上(ただし8頭以下でも同じ枠に2頭以上が出走するときは発売)。
- 発売開始後に出走頭数が減少した場合も、発売開始時の内容で発売・払戻を行うとされています。発売締切は事業所で発走時刻の2分前、的中券および返還券の払戻期間は60日間。いずれも同じ出典です。
- 複勝の理論平均配当 = 頭数 × 払戻率80.0% ÷ 的中枠数。7頭なら7×0.80÷2=2.800倍、8頭なら8×0.80÷3=2.133倍。7頭→8頭で0.762倍になります。
- 必要的中率(1点)= 1 ÷ 理論平均配当。7頭35.71%、8頭46.88%で1.313倍。
- でたらめの的中率 = 的中枠数 ÷ 頭数。必要的中率との比は、5頭から18頭まで10通りすべてで1.2500(=1÷払戻率80.0%)です。
- 理論平均配当は目安です。実際の複勝配当は人気によって大きくばらつきます。当サイトは少頭数が有利とも不利とも主張していません。
- JRA払戻率(2014年6月7日改定):単勝・複勝80.0% / 枠連・馬連・ワイド77.5% / 馬単・3連複75.0% / 3連単72.5% / WIN5 70.0%。
- 控除率は必要的中率の式に重ねて引いていません。 パリミュチュエル方式なので、控除はオッズの中にすでに入っています。
- 販売ページの数値は販売者による表示(2026年9月時点)で、当サイトの計算と書き分けています。当サイトはこれらの商材を購入していません。
まとめ
- 5〜7頭立ては、複勝が2着までしか払い戻されません。 8頭から3着までです
- 4頭立てでは複勝そのものが発売されず、2頭立てで買えるのは単勝だけです
- 複勝の理論平均配当 = 頭数 × 80.0% ÷ 的中枠数。7頭2.800倍、8頭2.133倍
- 頭数が1頭増えたのに、平均配当は0.762倍に下がります。 分母の的中枠が1.5倍になるからです
- 7頭の2.800倍を超えるのは11頭立て(2.933倍)から。9頭立ては6頭立てと同じ2.400倍です
- でたらめとの比は10通りの頭数すべてで1.2500。 絶対値だけが動き、要求される精度の倍率は不変です
- 枠連は9頭以上が原則。ただし8頭以下でも同じ枠に2頭以上なら発売されます
- 発売開始後に頭数が減っても、発売開始時の内容のままです
あなたが次に少頭数のレースを買うときにやることは、発売開始時の頭数から的中枠を決めることです。 7頭以下なら2着まで。そこから割り算1回で理論平均配当が出ます。
公営競技はのめり込みすぎると生活に支障が出ることがあります。使う金額と回数はあらかじめ決めてください。ご自身やご家族のことで気になることがあれば、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(https://scga.jp/)にご相談ください。